優良記事紹介ヘッドライン    感謝アンテナ様【 にゃんてな!


【不思議】天使に助けられた件/HN:ロビンM

天使に助けられた件/HN:ロビンM




…ああ…



俺は暗闇の中で一人もがいていた。

額から流れる汗が目に染みるが払う事が出来ない。かろうじて目だけは動くが、それ以外は全くといっていい程動かせないし声も出ない。いや感覚すらない。

初めての経験に「これが金縛りか~♪」と感動すら覚えていたのだが、キンと響く耳鳴りの底から何か一定のリズムを刻む低い声がしている事に気付き、俺は全神経をそれに集中した。

「 …ふむ… お経か… 」

ポク、ポク、ポク、チーーーン…
ポク、ポク、ポク、チーーーン…

成る程、微かに木魚を叩く音も聞こえる。意識しているからかその声と音は少しずつではあるが大きくなっているような気がする。

「 こ、怖ぇえじゃねぇか… 」

クーラーは付けないで寝た筈なのに、室温は夏とは思えないほどに低く感じる。

昔、夏美に聞いた金縛りの解き方。指先に意識を集中!!

「 うおおおおお!!」

…ダメだ!感覚すら無いのに指先に力を入れる事など不可能。

ポク、ポク、ポク、チーーーン…
ポク、ポク、ポク、チーーーン…

「うるせー!!こんにゃろー!!」

未だ続いている低い唸り声のようなお経は益々音量を増していき、遂に温厚で気が長くて有名な俺を怒らせてしまった。


しかし幾らキレた所で動ける筈もなく、お経はもう既に俺の耳のすぐ側で鳴っている。

寒気が増す。

人の吐息程の生暖かい緩い風邪が、俺の顔を撫で回し始めた。

いる。俺のすぐ隣りに誰かが。

ハァ、ハァ… ハァ、ハァ…

生臭い息。

歯ぁ磨いてんのかよ!と言いたくなるぐらいドブ臭い口臭。もう勘弁してくれ…息が出来ない、苦しい…

必死に目を見開きそちら側を見ようとするが、闇よりも更に黒い影の輪郭がチラチラと見えるだけで肝心の顔がギリギリ見えない。

再度、指先に集中!!

「 う、うおおおおお!!」

『 …ふふふ…そんなこと…してもむだ…だよ…ふふ…』

どこかで聞いた事のあるような展開だが、確かにそいつは臭い息を俺の顔に吹き掛けながら弱々しくそう囁いた。

『…いけ…でていけ…でていけ…でていけ…でていけ…でていけ…』

この部屋に越して来て三ヶ月、今思えば最初から不可思議な事が何度も起こっていた。

四階の窓の外を黒い影が横切ったり、夜中にクローゼットの内側から爪で引っ掻くような音がしたり、テレビのボリュームが勝手に上がったり、YouTubeの無料エロ動画が急に固まったり…ひ…

一番迷惑なのは、このマンションの裏手が墓地な事もあり、気持ち悪りぃのでそちら側の雨戸は昼夜閉めたままの状態にしているのだが、いつも決まった時間、夜中の三時頃にガタガタと激しい音が数分間続き、翌朝には必ず雨戸が五センチ程開いていると云う現象が起きていたのだ。

『…でていけ…でていけ…でていけ…でていけ…でていけ…』

ふむ、「でていけ」と繰り返すこの黒い影は元々この部屋に住み着いていた地縛霊かもしれん。いやもしかすると裏手の墓地から流れてきた浮遊霊がただちょっかいを出しに来たのかも…分からん!…明日夏美に来て貰おう…

『…でていけ…でて…!!』

突然、声がピタリと止み、読経の声も消えた。同時に耳鳴りも止まり、部屋の中は真夜中の静寂が訪れた…

奴の気配も消えた。

「…た、助かったのか…?」

俺は更に吹き出してきた汗に目をヤられながらも全く動く事が出来ず、ジッと部屋の天井を見つめていた。

ふと気づいた。

何故か視界の隅で吊り下げ式の電気がグラングランと左右に揺れている。良く見ると暗闇に不釣り合いな天井から伸びた二つの白い手が、電気の傘を揺すっていた。

「 …………!!』

指先集中!!

「 う、うおおおおお!!」

やはりまだ金縛りは解けない。しかしそうしている間にも天井から伸びた白い手が此方に向かってゆっくりと伸びてきている。

「 うおおおおおおお!!」

『 …そんな…ことしても…むだだよ…ふふふ…』

遂に白い手は俺の首を掴みギリギリと絞め始めた。

華奢な女性の手と思しきその手からはとても想像出来ない強い力。首に食い込むその指がどんどん俺の意識を奪っていく。

薄れゆく意識の中、突然目の前に現れた女の顔はとても死人や幽霊とは思えない程の美貌で、「まあこいつにだったら殺されてもいいかな~♪♪」と思わせる程に素敵な笑顔をしていた。

「 …………!!」

ドスン!!

突如、腹に激痛が走った。まるでボーリングの玉をまともに落とされたような強い衝撃。

わん!!わん!!わん!!…フガ…
わん!!わん!!わん!!…フガ…

「…んっ?犬?!」

腹の方からけたたましく吠える犬の声が、俺の薄れかけていた意識を再度覚醒させてくれた。

わん!!わん!!わん!!…フガ…
わん!!わん!!わん!!…フガ…

すると、目の前の美人はあからさまに嫌そうな表情を浮かべたかと思うと、スルスルと天井に吸い込まれて消えた。

金縛りは解け、何が起こったのか理解出来ない俺は必死で頭を持ち上げて腹で吠え続ける何者かを凝視した。

「 お、お前 …ま、マモルか?」

そこには紫色に発光しながら高速回転しているマモルがいた。

「…おいロビン!今回が最後だぞ!もう助けてあげらんねーからな!わかったな?…フガ…」

懐かしい声。クシャっとした顔に潰れた鼻。そしてクリクリした愛らしい二つの目。

「…おいロビン!直ぐにこの部屋は出ろ!曰く付きまくりもいいとこだぞここは!どうせ家賃に釣られて借りたんだろバカ!相変わらずバカだなお前は!…フガ…」

マモルの背中には二つの白い羽根が生えていた。

「…ま、マモル!またお前は俺を助けてくれたんだな!…有難うマモル!!」

パタパタと左右の羽根が上下し、マモルは徐々に浮上していった。

たるんだ腹が重いのかそのスピードはかなり遅い。そして「ハッハ、ハッハ」言いながら舌をベロンと出しているマモルの顔はまるで笑っているようにも見えた。

マモルが放つ紫色の光が白に変わり、無数のキラキラとした小さな粒が部屋中の壁から現れ、彼の身体中を隙間なく包んでいく。

それはまるで名作「ゴースト、ニューヨークの幻」を思わせる程綺麗なものだった。そういえばさっきの霊もあの名女優「デミムーア」にどことなく似ていたかもしれない…

マモルの体を完全に光の粒が覆った瞬間、再度高速回転を始めて上昇し天井へと消えていった。

「…………」

大量の汗と共に俺の目からも涙が溢れた。彼には何度助けられたろう…今の俺があるのは彼のお陰だといっても過言ではない。感謝してもし切れない…お前は俺の最高の親友だ!!

「…ありがとうマモル、そしてさらばだマモル!!」

洗面所で顔を洗い、朝を待って不動産屋へ怒鳴り込んだ。解約書にサインをした後、俺はマモルの最後の言葉を思い出していた。

「…二度とボクの話を「天通」に出すなよバカ!わかったか!!…フガ…」



すまんマモル!俺はまたお前との約束を破っちまったよ…

【了】


2014年09月10日(水) 04:49
ロビンM ◆eBcs6aYE
※天通の投稿広場より掲載
関連記事
8件の投稿・反響コメントを見る

┏みんなに広める┓
ぜひ反響をお寄せください↓投稿者さんのやる気が跳ねあがります
Loading...

コメント

[4682] な、なるほど!
やあロビンミッシェルだ。

↓氏、そうか、マモルはペガサスもしくはパグサスになっていたのか!…ひ…

いや…なんでもない、忘れてくれ!!
[4681]
マモルはペガサスになったんだよ!
[4675] サンクス
やあ、ここ一週間程ウィルスに大腸をやられちまっていたロビンミッシェルだ。

皆、嬉しいコメントおおきにやで…ひひ…
今回の怪談も猛烈に創作臭い話だが、マモルに羽根がはえていたのは実話だ!

夢でなければ何故マモルに羽根がはえていたのか?あいつは本当に天使になっちまったのか、詳しい人、同じ体験をした人がいたら教えてくれ!
気になって夜もたった六時間しか寝れない状態が続いているんだ…ひ…ぐふう!
[4640]
うしろの百太郎のゼロを思い出した。ピンチの時に助けてくれるみたいな
[4637] ロビンさん…
もう…いつまでもマモルくんに面倒かけちゃダメじゃないですか〜!

マモルくんも、美人な幽霊にデレデレしているロビンさんなんか、もう放っておくと良いですよd( ̄  ̄)

とは言え、天使なマモルくんの姿を想像すると和みます(*^^*)

[4636]
マモルくん強すぎ守護霊ですね。ところで失礼なことを申し上げますと「でていけ」というのは、家から、でなくロビンさんの身体から魂を出そうとした…。もしかしてロビンさん…霊モテするタイプ?
[4635] ロビンさん作品のファン参上
マモル君が、亡くなられてから 久々のシリーズですね。 マモル君は、あまり 話して欲しく無いと言って たけど マモル君 好きな 人達は、 沢山 話しを 知りたい と 思うので- 許してや~ぁ マモル君
[4634]
ロビンさんの作品いつも楽しみに読ませてもらってます。
中でもマモルくんシリーズ一番好きです。
羽根の生えたマモルくんかわいいなぁ(*^^*)
口臭のキツい美人てのもロビンさんらしい(笑)

この記事に投稿


※天通の発信ポリシー

人気記事紹介    感謝アンテナ様【 P!アンテナ にゃんてな!
*おすすめタグ*

あなたに縁のある投稿
アクセスカウンター
天通イベント棚
★おすすめ本2選

★おすすめサイト2選
スピリチュアリズム 天門庵