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【怪異】メイプル語り2-メイプルガタリニ-①/HN:こげ

メイプル語り2-メイプルガタリニ-/HN:こげ


車の通りが絶えた国道…
雲に月が隠れ…民家の明かりはひとつもなく
辺りは漆黒の闇で満たされています。
ヘッドライトに映し出される枯草の海…
ここは関東某県にあります…ブラックバス釣りで有名な某沼…
私達が訪れたのは、もちろん魚釣りの為ではありません。
この沼の畔に建つドライブインの廃墟…
数年前から、ここで変死した老爺の霊が度々、
肝試しに訪れた人々によって目撃されていると聞き、
心霊スポット探検メンバー十人で二台の車に分乗してやって来ました。
国道脇に大きく開けた路側帯があったので、
そこへ車を停め、徒歩で廃墟へ目指すことにしました。

「おい、こっちだ!ここから入れそうだ!!」

道路脇は鉄条網が張り巡らされ立ち入りを禁じられていますが…
リーダーのA君が身体を横向きにすれば
なんとか潜り抜けられそうな途切れ目を見つけ、指をさしています。
立ち入り禁止を呼びかける看板の裏に入り口があるとは…
なんて皮肉なことでしょう。
懐中電灯を片手に私たちは敷地内へ足を踏み入れました。


私は心霊スポットと呼ばれる
各地で幽霊が出ると言われている場所を
休日などを利用して訪ねて廻ることを趣味としています。
ネットで知り合ったA君に
心霊スポット探検を数人の仲間とやってるから一緒にどう?
と誘われたのがきっかけです。
それから現在まで探検に同行して
数々の怪異と遭遇、恐怖に心臓を鷲掴みされ、
すくみ上がって満足に身体が動かない状態で
闇の中を半泣きになって逃げ回り
這々の体で車に辿り着いたこと数度…
遊園地などのアトラクションでは味わうことができない
保障も保険も安全装置もまるでない
全ては自己責任でギリギリのスリルを楽しむ
心霊スポット探検…
私は完全にはまっていました。



懐中電灯が草の海原の奥を照らすと、
白い威容を浮かび上がらせる建物が見えました。
雰囲気たっぷり…何か出てきそうな予感…
軽い戦慄とともに、湧き上がる高揚感…

密集して生える背の高い草…ススキ… 人が一人通れる幅…獣道のようなものがあります。
あの廃墟へ探検に行く人が通る事によって出来たのでしょうか…

「鉄条網を抜けたとき、空気が変わったよな?」

「もう結界と呼ぶに近いな…気配だけで、この存在感…」

「肝試しとか物見遊山で行くレベルを遥かに超えてるぞ?」

先頭を行くA君と、その後ろを歩くC君…

「どうする?先へ行くか…自信のない奴は車へ戻るか…それとも全員撤退か…」

ススキの原は元駐車場だったらしくて足下は土や砂利ではありませんでした。
縦横無尽にひびの割れたアスファルト…
その裂け目から私の背丈よりもなお高い…ススキなどの雑草が壁の様に生えてて、
外から見たイメージと違って…たくさんの分かれ道が出来てます。

「迷路のような植生が…さらに方向感覚を狂わせてくるか…」

B君が言うように、敷地へ入ると本当に…ここは迷路の様相…
草の壁に視界を邪魔されて、目指す建物はどこにあるのか窺うこともできません。
太陽さえ昇ってしまえはそれも半減してしまうでしょうけれど…

「どうする?進むか戻るか…」

全員、迷うことなく進む事を選びました。
ほとんどの人は、私がこの探検チームへ入る以前から
心霊スポットへ喜々として突撃していたベテラン揃いです。
今回は私を含め女子が三人いますが、この二人の方が探検歴長かったりします。
なんて言いますか…ぐずぐずしてると私達など無視して
先に行ってしまいそうな勢いです。
皆さんA君には一目置いているのでそれは無いですけど。

草むらを掻き分けて建物を目指し直進するよりも、
このまま道…草の隙間に出来た道みたいなものに従い、
方位磁石を頼りに建物を目指したほうが良いだろうとA君が判断して
しばらく進んでいきますと、
視界が開け…目の前に黒々とした水を湛える沼の畔へと出ました。
方位磁石…ちゃんと仕事してくれなかったみたいです。

「やっぱり…外へ外へと誘導されちまったな…」

「でもまぁ、これでもかなり近づけた方だと思うよ」

ここから何か見えないか懐中電灯で照らしますと、
水辺から突き出た灰色の人工物があるのを発見しました。
あれが目的の建物とすれば…かなり北の方へ来てしまったようですね。

「あれがドライブインの廃墟…とするなら
 水辺に沿って進めば…もう、迷うことはない!」

なかなか建物に辿り着けなくて不安になっていたのでしょう
A君の言葉に全員から安堵の溜息が漏れました。

「もうひと踏ん張りだ、行くぞ!!」

『おお!』×9

目的地がどこにあるか、場所が確実になったので
気持ちも足取りも軽くなりました。
近づくに連れ、密生する草の背丈は低くなり…
建物の上階からだんだん見えてきます。

「あれって二階建て?三階建て?」

「二階建てだって聞いていたが…思ったより高いな」

目の前まで来ると建物の全貌が分かりました。

「なるほど、一階に見える部分が掘り下げの駐車場だったのか」

沼の岸に沿って建物へ向かったから半地下の駐車場部分が確認できた為、
三階建てに見えた…という訳ですね。

「さて、一階部分から見ていくぞ」

A君が先頭となって建物の正面へ向かいます。
十段くらいの階段がありました。
一階へ行くにはここを上るみたいです。
掘り下げの駐車場が階段の隙間から見える為、二階へ行くみたいに感じます。
今日はスカートだからなんか…ちょっと…
入り口へ到着、開いたままになった自動ドアを抜けて中へ入ります。
破壊され床に転がるキャッシャーにイミテーションの蝋細工…
踏まないように避けて進みます。
沼に面したガラスは全て割られていて…
それから壁や床、天井に焼け焦げた痕や崩れている箇所がありました。
廃墟になってからなのか分かりませんが、
火災を起こしたみたいです。

足許に気をつけながら一階部分を隈なく見て廻りましたが、
お爺さんの幽霊と遭遇することはありませんでした。
建物内へ入った直後から凄まじい悪寒に襲われ…
すぐ鉢合わせになってもおかしくないと思ったのですが…
私達全員の感覚が狂わされているみたい…
気配が強烈すぎて…どこにいるのか分からないんです…
それで一階部分の探索を終了して、
二階を目指すことになったのですが…
階段が…火災の為か…途中で崩落していて上に行くことが出来なくて、
仕方なく外へ出ることにしました。
このくらいの施設なら非常階段があるだろうと手分けして
建物の周囲を探してみたところ
沼に面した壁側に錆びて劣化の進んだ金属製の階段が見つかりました。

「一度に上ると危なそうだな」

「一人が上ったら下へ合図を送る方法でいくか」

「そうだな」

列を組みなおして順番で階段を上ることになりました。
私は最後から二番目…
談笑しながら順番が来るのを待っていると

「にぃ♪」

足許で可愛い鳴き声がしました。
私の足にべたっとすり寄ってきますよ。
膝あたりに巻きつくようにふさふさな尻尾の感触…
こ、こんな危険な場所…時間帯なのに…
私ったら…し、辛抱できません!
間違いありません!見るまでもなくこれは…これは猫さんです♪
飼い猫が夜のお散歩にでも来たのでしょうか?
とっても人懐っこいですよ、この猫♪野良君ではこうは行きません!
どんな可愛い猫さんでしょうか?
見下ろすと…あ、ええと…

「あれ、あれれ?」

いません…

「猫ちゃ~ん♪」

「にぃ♪」

あれ?確かにいるみたいですけど…
声はすれども姿は見えず…

「どうした?順番来たよ」

最後尾のB君が中腰で猫さんを探す私に声をかけました。

「ごめん!順番代わって!先に行ってて」

「どうした、そんな格好になって…何か落としたの?」

「違うの、猫さんがいるんだけど…」

「猫?」

「猫さん見てから行くから」

「ああ、でも一人は危険だから…奴の威力圏ど真ん中てこと忘れないで」

「わかった!猫さん見たらすぐ追いつくから!」

B君はカンカンと靴音を響かせ階段を上っていきました。
立ち上がって後姿を見送る私の足に、
またしても猫さんはまとわりついてきます。

「ぐーぐ ぐーぐ♪」

喉を盛大に鳴らしてるし
今度こそ、猫さんを抱っこしようとしゃがんでみると…
いないし…
いえ、います!私の背後に回りこんで…
しゃがんだ私のお尻にスリスリしてるし…
か、からかわれてる…
そこへ上から光が降ってきて…私の周囲を照らしました。

「何してんだぁ!?」

A君の声。

「猫さんが…」

「二階は凄いぞぉ!床は落ちていて一階とは比べ物にならんくらいの迫力だ!」

「出そう?」

「てか、この気配はやばい!すぐ目の前に絶対いる!」

「おお!」



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