優良記事紹介ヘッドライン    感謝アンテナ様【 にゃんてな!


【怪異】恋痕語りーレンコンガタリー①/HN:こげ

恋痕語りーレンコンガタリー/HN:こげ


私は心霊スポットと呼ばれる
各地で幽霊が出ると言われている場所を
休日などを利用して訪ねて廻ることを趣味としています。
ネットで知り合ったA君に
心霊スポット探検を数人の仲間とやってるから一緒にどう?
と誘われたのがきっかけです。
それから現在まで探検に同行して
数々の怪異と遭遇、恐怖に心臓を鷲掴みされ、
すくみ上がって満足に身体が動かない状態で
闇の中を半泣きになって逃げ回り
這々の体で車に辿り着いたこと数度…
遊園地などのアトラクションでは味わうことができない
保障も保険も安全装置もまるでない
全ては自己責任でギリギリのスリルを楽しむ
心霊スポット探検…
私は完全にはまっていました。



その夜は屋内メイン…廃工場と廃レストランをこなし
三つ目…本日、最後の心霊スポット、
某県某市にあります
巨大分譲住宅地からわずかに離れた木立の中に威容を見せる
廃アパートへやってきました。

ここは部屋で首を吊り自殺を遂げた方が霊となって現れるそうで
入居者や、隣室に住む方が夜な夜な恐ろしい体験をして、
恐怖に耐え切れなくなって部屋を出て行く…
次の入居者も、またその次の入居者も
霊を目撃し、恐ろしい体験をして出て行く…
その体験は噂となって広まり
アパートから次々と人が去り、
新たな入居者を得られず、
潰れたのだと聞いています。

「アパートは狭いし、全員で行けば10分ほどで終わってしまうので
 今回は一人ずつ出発していき十分間隔で次の人間を送り出す
 『肝試し』ルールを適用する」

今回の参加者は5人なので一時間弱で探索が終わる計算です。
リーダー格のA君が最後になり
トップバッターはB君、
その次が私で、C君、D君の順番でアパートを廻ることになりました。


私が参加した探検で『肝試しルール』が採用されたのは初めてです。
最近、スポット探検に慣れてきたところなので
このレギュレーションにドキドキでした。
いえ、ガクガクブルブル…ですね…
一人…ホラーや怪談が子供の頃から大好きだった私ですが
A君達と知り合う以前、
一人で心霊スポットへ行くことなど考えもしなかったのですから

「大丈夫だよ。俺が先に行って安全をある程度見極めてくるし
 もしも、帰還が遅くなるようなら全員で救助に向かうから
 いつも通りにやればいいよ」

一生懸命隠していた緊張をB君に気取られてしまったみたいです。
完全な子供扱いで私の頭を軽くぽんぽんと叩き
夜闇に慣れてきた視界の中、メガネのレンズ越しにB君はにっこり笑いました。

「は、はい!お願いします!」

「俺達は道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する
 頼りになる神出鬼没の特攻野郎Aチーム!
 助けを借りたいときは、いつでも言ってくれ」

他のメンバーも私に励まし?の言葉をかけてくれました。

「どこかで誰かが泣いている…誰が助けてくれようか…この世は人情紙風船
 耳をすませたやつは誰…泣き声目指して走る影
 この世は闇の…『助け人』」

「C君…なにそれ?」

「宇宙飛行士のトニー君は、どうしたことか宇宙ならぬ
 南海の小島にたどりついて、摩訶不思議な壷を見つけた。
 その壷から美しい煙と共に現れたのが、なんとかわいらしい魔女のジニー
 あなたのそばならどこまでもと、とうとうトニー君のうちまでついてきてしまった。
 なんせ魔女のこと、
 チョットかわいいウインクするだけでなんでもかんでもお望みしだい。
 え~さてどんなことにあいなりますことやら……」

D君…私には君が何を言いたいのか、さっぱり分からないよ…
家に帰ってお風呂入って寝たくなりました…

まぁ、そんな訳で車を停めた廃アパートから100m程離れた位置にあります
公園の駐車場から一人ずつ心霊スポット探検を開始しました。

「じゃあ、行ってくる」

B君が某警察特殊部隊のロゴが入ったキャップをかぶり、
懐中電灯を片手に飄々と出発していきました。
全然、怖いって様子見せませんね。
B君を見送ってから、残った男子はガンダムがどうのボトムズがどうのと雑談…
私は…会話に加われず
刻々と近づいてくる心霊スポットへ一人で入らなくてはならない自分の順番…
湧き上がる恐怖…色んな怖い事を想像しちゃいますよ…
チェーンソーとホッケーマスクとかテレビのブラウン管から這い出てくる女性とか…
携帯電話に着信ありとか…俊夫君とか…なんとかかんとかアクティビティとか…
高まる緊張で…ただ、アパートがある方向を見つめてます。
た、楽しい事とか想像しなくちゃ…し、死霊の盆おど…

「あ、Bが戻ってきたな、そろそろ10分か
 がんばってな」

え!?もうそんな時間ですか!?
あっという間ですよ!?
本当だ!懐中電灯片手に戻ってくるB君の姿が見えました。
自分の順番が来ちゃいました!

「なんにも出なかったよ」

戻ってきたB君は真っ先に私へ向かってそう言いました。
なんにも出なかった…カーネギー名言集に加えたいくらいの素敵な言葉です!!
一歩踏み出す勇気が湧いてきました!
右手に持った懐中電灯…
軍や警察特殊部隊御用達の物凄い輝度を持つ懐中電灯を点灯させ

「行ってきます!」

「頑張れ!」「行ってこぉい!」「征け!ガトーよ!コロニーはそこにあるのだ!」

皆に見送られてとことことことこ…
10mほど歩いたら…やっぱり怖くなりました。
後ろを振り返り

「誰か一緒に来ませんか?」

「魅力的なお誘いなんだけど…一人で行ってらっしゃい」

全員がシッシと野良犬でも追い払うように手を振るじゃないですか!?
私に向けて…

「孤立…無援…」

誰も助け舟を寄こす気ありません…諦めてトボトボと歩き出します
また10m進んで振り返ると
だって誰か気が変わってくれるかも知れないじゃないですか…
あ…
召集令状が届いて出征していく兵隊さんを見送るみたいに
四人が万歳三唱してるじゃないですか!?
本気で一人で行かす気ですね…女の子を…一人で…

怖いなら…怖さを紛らわす為に…そうだ!
なんか歌っちゃお♪
立ち止まって選曲開始…歩きながらじゃないのが流石です私…
じゃあ、あれにしよっと
杏里さんの『CAT'SEYE』♪
古いですね~私なんて生まれてないですよぉ~でも知ってます♪

「せぇの!
 でんでけででででん でんでけでんでんでん
 街はきらめくぱっしょんふるーつ♪
 ウインクしてるえぶりな~い♪
 グラスの中の…グラスの中の…ぐ…」

歌詞が…
歌い始めていきなり歌詞に詰まりましたよ。
歌詞が分からないと、私はジェリド・メサみたいに
もう一歩も前に進めないじゃないですか!?
記憶を辿りましたが
やっぱり分からず
仕方ないなぁ…でも大事なことだし…
皆の方に振り返り…いま来た道を逆戻り…

「グラスの中の…なんだっけ!?」

「うるせぇよ!さっさと早く行ってしまええ!!」

なんか凄く怒鳴られてしまいました。
とぼとぼとぼとぼ…
レオンに送り出されアパートを脱出したマチルダ(ナタリーポートマン)みたいに
とぼとぼとぼとぼ…
あーるーはれたぁひーるさがりーの子牛みたいに
とぼとぼ…子牛は荷馬車に乗ってたのですね…とぼとぼとぼとぼ…
廃アパートが見えてきました
木立の向こう…街路樹の張り出した枝葉によって夜空が消され
周囲には濃い闇が満ち
アスファルトの上を落ち葉が風でカサカサと音を立て転がっていきます。
アパートの敷地を囲む緑の金網フェンス…
建物がはっきり見えてきました。
緊張と恐怖が一気に高まります
コンクリート製の門柱が立つ間を抜けると
足許は砕石が敷かれたものに変わりました。
私の一歩一歩に砂利が崩れ
物悲しい音をたてます。
B君が何も出なかったと言ってたし…
きっと、私…夜の雰囲気に飲まれてるだけなんだ…
パンが無ければケーキを食べればいいこと…
歌詞が分からなければ別の歌をうたえばいいだけじゃん!!
経年劣化が著しい
打ち捨てられた骸骨みたいな色をしたアパートの壁を見つめ
口から出た歌は…

「あいきゃんすとっぷ♪ざ、ろんりねぇ~す♪
 こぉらえきれぇ~ず かぁなしぃみがぁ~とぉおまぁらなぁ~い♪」

なぜかやっぱり杏里さんの『悲しみがとまらない』でした。
歌手つながりですか…杏里さん…
悲しい歌なのに曲は明るいしノリが良いんですよね♪

「あいきゃんすとっぷ♪ざ、ろんりねぇ~す♪
 どぉしてなぁ~の かぁなしみがぁ~とぉおまぁらなぁ~い♪」

それが手伝って私、一階部分を無視して
階段を上って二階へ行っちゃいましたよ私。
自殺した人の幽霊が出る部屋って二階なんですよね♪
コツコツと靴音を立てながら短い廊下を進み

「あなたに彼女 会わせたこぉとを♪
 わたし今でも 悔やんで~いる♪」

その自殺された方の部屋のドアノブに手をかけた時
べきっ!!
すぐ近くで何かが折れ砕けるような音が耳朶を激しく震わせました。
続いて金属的なキンキンという弾ける感じの音…

「ふたりはシンパスィイ 感じ~てた♪
 昼下がりのカフェテラッス~♪」

歌いながら周囲を確認…
建物倒壊…するような様子は見られないけど…

「あの日電話がぁ~ふいに鳴ったのぉ~♪」

鍵の掛かっていないドアを開けて中に入ります。

「あ~のひ~ととぉ別れ~てとぉ
 彼女からぁ~♪」

また…凄まじい破壊音!壁にダンプが突っ込んだみたいな…
でも、でも何も起きてないんですよ。
音だけ!そしてまた近くで
叩くような金属音やガラスが割れるパキパキという音がしました。
ドアの脇にあるシステムバスから
その先にありますキッチン兼リビングから…

「こ、これってもしかしてのラップ音!?」

部屋に入ってから急激に気温が低下したような…吐く息が白いです。
あのパキパキ、キンキンという音が鳴りっぱなしで…
ラップ現象なんて…今まで行った心霊スポットでは起こったことなかったのに…
だんだんと怖い想像が…
でも、せっかく
ここまで来たのだから…
部屋の奥まで…自殺現場まで行ってこないと…

「あいきゃんすとっぷ♪ざ、ろんりねぇ~ぇす♪
 どぉしてなぁ~の♪ かぁなしぃみぃがぁとぉ~まぁらなぁ~い♪」

怖さを紛らわす為にも
歌うの再開!
懐中電灯を照らしてキッチンを確認…

「誤解だよぉって あなたはわーらうー♪
 だけどキッスは 嘘のにぃおい~♪」

何か生ごみみたいな…なまものが傷んだような悪臭が鼻を衝きます。
そして、寒さで鳥肌が立つほど…闇に鮮やかに浮かぶ…
吐く息が真っ白!エクトプラズムとか言いたくなるほど真っ白です!!
ここ…絶対、何にもなく…ないよ!B君絶対嘘ついた!!

「抱きしめら~れて 気付い~たのぉ♪
 愛がここぉにぃないこと~を~♪」

今まで廻った心霊スポットでも最怖の部類に入る…
気配…なにかが動いてる…なにかいる…いますよすぐそこ!
背筋がゾッとして
背後の…六畳間…なにか…

「恋は小さなぁ 嵐みたいにぃ♪
 とぉもだぁ~ちも~こぉいびともぉ~
 うばあああってぇ~♪」

天井が抜けたかと思いました。
大轟音!!そして地震みたいな激しい揺れ!!
立っていられません!!
思わず頭を手で庇ってその場にうずくまります。
アパートが…崩れるの!?
轟音も揺れもまったく止みません!
でも…なんか…
何かが…誰かが…部屋の中で暴れまわって…滅茶苦茶に壊しまくっているみたいな
移動している!?
爆音!?騒音!?破壊音!?
私の周りを…

「怖いよ!怖いよ!!
 あいきゃんすとっぷ!ざ、ろんりねー!!
 彼を返して!悲しみがとまらなぁいいい!!」

キッチンの方でも扉が激しく開いたり閉じたりする音
シンクが熱いお湯をかけた時みたいにボンボンと鳴り
ドタドタと誰かが駆け回る足音がします!

「あいきゃんすとっぷ!ざ、ろんりねー!!
 誰かぁ助けて! 悲しみがとまらない!!」

歌っているというよりはもう怒鳴っています私!

「あいきゃんすとっぷ!ざ、ろんりねー!!
 こぉらえきれぇず 悲し!!」

誰かが私の手を…
誰かが頭を庇う私の手を触りました!?

「いやだぁ!やめてよぉ!!」

それを振り払おうと私はもがきます。
しかし、私の手を…あっちも手です!
ぎゅって!ぎゅって握ってきます!!
泣く!気持ち悪い!吐くよ!!

「俺だよ!おーい!
 お・ち・つ・け!!」

男の人の声がしました。

「うぁ~ん!本当のお母さんは手が真っ白だよぉ!!」

「七匹の子ヤギかお前は!?」

そのツッコミ!その声は!?

「C君!?」

驚いて顔を上げると
私の後に探索へ出るはずのCがいました。

「10分経って出発してきたんだ。
 何があった!?
 ここはテレビにも出演する有名な霊能者によって除霊済みのスポットなんだぞ?」

「わかんない!わかんないよ!!
 部屋に入ったらこんなんなってた!!」

C君が来てくれた安堵と怖さで涙が止まりません。

「立てるか!?念とか気の状態が尋常じゃない
 ここはヤバい!!逃げる一手だ」

「う、うん」

そろそろとC君に手を貸してもらい立ち上がります
腰は抜けてなかったみたい…です。

「ゆっくりと部屋の外へ向かえ!
 俺は背後を守りながら行くから頑張れよ!」

「う、うん…」

足許が…床が揺れているみたいで上手く歩けません。
寒さがさらに増しているようで
氷点下とかに届いているんじゃないでしょうか
視界にもなにか黒い塵みたいなものが無数に舞っている…
漂っているみたい…
ガチガチに…寒さと恐怖で凍えた手足を力で無理矢理動かして
玄関を目指します。

「それにしてもなんてぇ怨みだ…
 こいつはもう呪詛と呼んでも大差ないな…」

背後で。戦慄のあまりに言葉を漏らしてしまうC君の声がしました。

「これだけ濃いと持ち…」

「なに!?C君!?『も』って何!?」

今、物凄いことをC君言おうとしなかった!?『も』って何!?

「いいから逃げることに専念して!!
 後の事は後で何とかすればいいから逃げて!!」

C君の剣幕に押され
私はドアを開けて室外へ出…
短い廊下を階段に向かって歩きます。
まだ地面が揺れてる…

「階段気をつけろ!転ぶなよ!!
 転んで落ちたらお姫様抱っこの刑にするからな!!」

転ぶことなく無事に階段を下りて
早くアパートの敷地から出ようと走ることにしました。

「はやく!はやく来い!!」

「急げ!絶対に後ろは見てくれるなよ!!」

前方…緑の金網フェンスの向こうからA君B君D君が手招きをしてます
え…後ろを…見るなって!?
気になってしまうじゃないですか!?

「絶対に見るな!!」

私の隣を走るC君が怒鳴りました。

「ひゃぁあああ!!」

何かが追いかけてくるんだ!凄いのが!!
得体の知れないもの
見ることも許されないものに追われるというのは
全力を出し切れないものですね
もっと早く走れるはずって頭で思っているより
遅くしか走れない…
もっと…もっと!
アパートの門柱が!あと少し!!

「気を抜くな!車まで全速で走るぞ!!」

鬼ですかあんた達!?息がもう持ちませんよ!!

「死ぬ気で走れ!追いかけてきてるのは
 ウエディングドレスを着た
 首からロープ垂らしてる女の怨霊だ!!」

門のところから私と併走しているB君が
ナイス!このクソ野郎発言をしました。
この変態鬼畜メガネ!!

「加速したじゃねぇか、もう80mだ!頑張れ!!」

60…


40…


20…


ついた!
駐車場に着きました!!

「早く車に乗り込め!!」



>>続きを読む
関連記事
2件の投稿・反響コメントを見る

┏みんなに広める┓
ぜひ反響をお寄せください↓投稿者さんのやる気が跳ねあがります
Loading...

コメント

[3516] 感想ありがとうございます♪
紫姫様♪
いつも感想を入れていただいてありがとうございます♪
そして、お返事が遅くなってしまい大変申し訳ございませんでしたm(_ _)m
Hさん…なかなか登場しないです~もうちょっと引っ張らせてくださいごめんなさい。
彼氏さんと元親友さん!もう歌詞のまま……(@_@;)怖すぎです…その場に居合わせたら…
考えただけで金縛りになりそう…デス
[3457] こげさんナイスショット[s:18241]
まさか こげさんの 選曲ミスで 幽霊を目覚める。 面白い(*^o^)/\(^-^*) さすがに Hさんに お仕置きされ、一週間幽霊との 同棲生活の罰を 喰らっても、めげず 新たな除霊の技を見つけた こげさん。Hさんに 会えましたか ちなみに 彼氏と 元親友が、怪しいと思った時 カラオケで 杏里さんの(哀しみが止まらない)を エンドレス歌い続けました。(*^.^*)

この記事に投稿


※天通の発信ポリシー

人気記事紹介    感謝アンテナ様【 P!アンテナ にゃんてな!
*おすすめタグ*

あなたに縁のある投稿
アクセスカウンター
天通イベント棚
★おすすめ本2選

★おすすめサイト2選
スピリチュアリズム 天門庵