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動物*自然愛 (総合)

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コメント

[3746] 感想ありがとうございます♪
>ロビンミッシェル様
いつもありがとうございます♪
メイちゃんのお話はいくつかのエピソードに分けて書かせていただくことになると思います。
(T_T;)一番最後になるお話はかなり長くなるので(T_T;)

次回はいつも通りのお馬鹿でオタクなお話に戻らせていただきます♪
『私』が視点となるお話の時はオタク言語満載にするって縛りで書いてますしw
コ○ケから帰ってきた夜のお話かもです。
ありがとうございました♪
[3711] メイプル
やあロビンミッシェルだ。

こげ氏、この怪談には続きがあるのかな?

メイちゃんと酷似したにゃんこと、心スポ探索のその後がとても気になるよ!…ひひ…

いつも通りこげ氏の可愛い言葉の入れ方と文章のタッチに、薄汚れた俺の心が少し浄化された気がするよ!有難う!

[3708] こんばんは♪
なんか全然なお話になっちゃってごめんなさいm(_ _)m
怖くもないし…(T_Tまた中途半端に長いような…)
ごめんなさい
一連のアレの0話な感じで…メイちゃんのお話…完全に自己満足ストーリーですよね
ごめんなさい
[3707] メイプル語り-メイプルガタリ-
古くなったファンヒータから僅かに出る燃焼音…
自室で立てる一番大きな音
私はキーボードを叩く手を休め、液晶画面から目を離しました。
太ももにかかる重みと温み
見下ろすと私の膝上で丸くなり、
くうくうと寝息をたてている愛らしい生き物…
見れば自然と顔がほころんでしまう
つま先から背中へ向けて白から黄色、黄色からきつね色に染まっていくグラデーション
頭と背中にメイプルシロップを垂らしたようなこげ茶…
それは、まさにホットケーキ…
可愛いすぎて食べちゃいたくなる…
この子は、私が世界で一番愛してる息子…
いえ、息子と言いましたけど、
実は猫さんなのです。
名前は『メイプル』♪
普段は『メイちゃん』とか『プルプルちゃん』って呼んでます♪
こうやって私が夜遅くまでPCに向かっているとやってきて
膝の上に乗って寝てしまうのです。
ベッドでひとり寝ているのが寂しくなっちゃうみたい♪

「にぃ」

無防備に眠る姿が可愛すぎて、思わず手を伸ばし背中を撫でると
まるで赤ちゃんだった頃みたいな鳴き声をあげました。
起こしちゃったみたいです。
丸めた身体から顔を上げ、
澄んだエメラルドの瞳で私を見つめてきます。

「メイちゃん♪」

「にぃ」

人間の笑みを真似てなのか、
目を細めて口の端を吊り上げ小さな歯列を覗かせて…なにこの可愛さは!?
天使!こんなに可愛い子は天使ですよ絶対!!
頭を撫でると、メイちゃんは嬉しそうに喉を鳴らしました。
実はこの子には私にしか知らない不思議があるのです。
メイちゃんの身体と僅かにずれて重なる、もう一匹…
別の猫の姿があるのです。
模様から大きさ、姿かたちがメイちゃんと酷似する…
姿が透けた状態で重なって見えるんです。

ペットの里親探し会場で初めてメイちゃんと出会った時、
毛布の上で眠る小さい子猫を守るように侍る成獣の姿がありました。
最初、成獣の方へ目が行ったのです。
会場に入ってきた私をその猫が見ていたからです。
一点に私を見つめる視線…
とても真摯な目で、自分を値踏みしてくる人間の目など完全に無視して…
目と目が合い…
吸い寄せられるように私を見つめる猫のいる
ブースへ向かいました。
付き添いで来てくれた友人達が慌てて私を追いかけてきました。
そして、猫の足許で眠る『メイプル』に会ったのです。
(透けて…その姿…子猫の身体と重なって…)
常の存在ではありませんでした。
私…最初は死別してからも我が子を守ろうとする親猫の霊…かと思ったのです。
透けているし、成獣で子猫と似ていたので絶対に親猫の幽霊だ!って
私以外…友達の目に映らないし…
でも、親猫じゃないって…すぐ気がつきました。
だって、眠る子猫を見ていないんです。
守ろうという感じもしていないし…
ただ、私だけを見つめてくる…それで、この姿が大きくなったこの子だって…
未来の…この子猫の姿なんだろうって…
この子はもしかしたら私と出会う為に生まれてきたのかもって…
なんか、そう思っちゃって…
眠る子猫を両手で包むように抱き上げ…
担当の方に私が引き取りたい旨を伝えたのでした。
怖い、なんて思いませんでした。
手続きを済ませ、持参したバスケットに子猫を入れて連れ帰りました。


すくすく私の愛情をいっぱい受けて
大きく成長したメイちゃん♪
透けて見える幻影の猫とほとんど変わらない大きさになりました。
こっちは相変わらず、お座りしたまま私を見つめるだけ…
メイちゃんが成長してやっと気がつきました。
この猫と模様や尾の長さ…目つきとか細かい部分が…
完璧に一致していないんです。
メイちゃんとは別の猫…
でも、この猫もまたメイちゃんとしか思えない…
メイちゃんとは明らかに別な猫なのにメイちゃんとしか思えないって…
この不思議の謎が解ける時、
私の人生がまるで変ってしまうほどの転機が訪れる…
とかだったりして


「メイプルぅ~どうしよ~?
 ここのサイトの管理人さんにね、
 心霊スポット探検に行きませんかって誘われちゃったよぉ」

チャットの画面に新たな書き込みがあったので、メイちゃんに読んであげると

「うにゃぁ~ん♪」

なんか微妙なお返事をされちゃいました。
勧めているのか違うのか…
私もこの心霊系探検サイトの常連になって、
よくお喋りする友達ができて…メアドや携帯電話の番号とか教え合ったりして
もちろん、全員が女の子ですよ?
みんな心霊やホラー、占いが大好きな
サイトの管理人さんや心霊スポットへ突入するメンバーは殆どが男性で…
たまにオフ会するとか…
そこには女性陣も参加したりするとか…

今現在、大きな変化の兆候はなく
答えはまだ見つかっていません。

「行っちゃおうかな…心霊スポット探検…」






(おしまい)
[3602] (T_T)手直しというか…はうぅぅぅぅぅ
こんにちは~♪
私は5月3日からお休みです~(T_T)いいですね~ずっとお休みって…

うにゃーなんかまた長いお話を…今回は全文書き直しになってしまいました。
疲れて…いまいち推敲が甘いです~(x_x;)
前回の憑け物語りも…俺達とするところが私達になってたり…
なかなか読み直すのって…

タイトル…だんだん食べ物?食材?のネタがきつくなってきました(T_T)
どうしようかと…

ちょっと手直ししてみましたw
(おしまい)の下に書いたものをどうにかして本文の中へ組み込みたかったのですが…
ダメダメでした(T_T)

いつも通り、長くてあんまり怖くなくて申し訳ございません。
よろしければ読んでくださいませm(_ _)m
[3601] 言わな語り-イワナガタリ-
お盆に父方の実家へ家族で出掛けるのは毎年恒例の事でした。
祖父母の家は北関東の某県、東京に近い割りに山あり川あり
空には鳶や鷹が舞い
集落にはイノシシや狸など野生動物が普通に出没する
自然と人の営みの調和がとれた素敵なところです。

父は田んぼと畑だけで何もない退屈なところだと苦笑しますが
祖父母の家に滞在する数日を、私はとても楽しみにしていました。
三男の父と同じく、長男と次男も家を出て、隣の市に家を建てて住み暮らしているので
祖父と祖母の二人暮らし、
息子夫婦が孫を連れて帰ってくるのを楽しみにしながら
ご先祖様から受け継いだ土地、田畑を守っているのだそうです。

祖父母の家で食べるご飯も楽しみのひとつでした。
畑で丹精こめて育てた野菜の味は格別ですし、
そこに近くの山で捕れたイノシシや鹿のお肉、
清流で獲れた川魚や川えび、沢蟹などが加わって、
都会ではまず食べることの出来ない野趣溢るるご馳走が食卓に並ぶのです。
家では小食で親を心配させていた私ですが、
こちらでは食べすぎて、逆にそれを窘められてしまうくらいでした。

三歳上の兄…妙に大人びて話しかけるのも躊躇してしまうくらい超然とした兄…
その兄が祖父母の家では、近くに住む同年代の男の子達と泥だらけになって遊び、
清流での魚釣りやえびや蟹を獲ったり、川で泳いだり
夜明け前の山へ分け入り、カブトムシやクワガタムシを捕まえに行くほどの豹変ぶり…
あまりの変わりように私は目を白黒させていました。

私だって楽しみは食べること以外にちゃんとありましたよ。
祖母と畑に行ってお水を撒いたり、雑草を取ったり、野菜を収穫したり、
葉っぱや鬼灯で音を鳴らしたり、白粉花とか草花での遊び方を教えてもらったり
祖父が吊ってくれた蚊帳の中で祖父母が子供だった頃のお話を聞かせてもらいながら
眠るのも楽しみでした。

それから、街明かりの届かない山の頂で、
茣蓙を敷き、蚊取り線香を焚いて祖父母や家族と寝転び見上げた星空は
今でも鮮明に思い出されます。

夜空を埋める星々の煌き
古代人が星々の並びから人物や動物など…連想して名付けた星座達を指で辿り
流星が天の川や夏の大三角を幾度も横切る様を見ては歓声をあげて、
時間が経つのを忘れ見入ってました。

花火大会や盆踊りに連れて行ってもらいました。
街明かりが少ない…夜の闇が濃いからでしょうか
こちらと違って空に咲く花火の色が鮮やか…

ゆらめく炎に祭囃子、独特のリズムを持つ在所訛りが飛び交うお祭り会場…
わたあめにカキ氷、たこ焼きに大判焼き…屋台で売られているものは同じなのに
こちらの方が格段に幻想的で神秘的なものに映りました。
それから、どういう経緯でそうなったのか…その時は分からなかったのですが…
天冠を被り、お姫様みたいな着物をまとう稚児役を
小学一年生の時から毎年させていただいてました。
祖父母の家の門前まで地区の区長さんや世話役などが迎えにきて
輿に乗せられ集落内を練り歩き…堀と茨に囲まれた
大きな鳥居の立つお社へお参りするのです。
水干(すいかん)を纏った大人が担ぐ輿の上…
鳥居の奥から…私を見て微笑む黒絹みたいな癖の無い長い髪に富士額…
白粉を塗って輝く肌…眉を落とし、唇に紅を差した美しい女性…
下男役の方達が供物を門前に並べ捧げた後
私は社…鳥居…女性に向けて…祖父母に教えられた祝詞を唱えるのです。
それが私の役目…
綺麗な服を着て、お姫様みたいな待遇を受け
楽しいひと時でしたけど…なにか嫌なもの…怖い感じがして…



小学四年生の夏休み
今年のお盆も父方の祖父母の家にやってきました。
明日には家へ帰らなければならない十五日の朝、
私が目を覚まし、祖母と母が朝ごはんの支度をしているだろう台所へ行くと
二人の姿は無く…そればかりか祖父に父、兄までがいなくなってました。
家の中には私一人…
時計で時間を確認すると八時三十分…完全に朝寝坊です!
私って、寝起きはいいはずなのに…疲れが出ちゃったのかな…
起きない私をそのままに…
みんなで畑に行っちゃったとか。
パジャマから服に着替えて再び台所へ戻ると
テーブルの上に私の分でしょうか、
おむすび二つと胡瓜の糠漬けが一本、ラップをかけて置いてあります。
洗顔を済ませ、お鍋のお味噌汁を温めなおして食べることにしました。
書置きひとつ残さず、みんなでお出掛けしちゃうなんて…
歯を磨いたら畑へ皆を探しに行ってみよっと。
右手におむすび 左手に糠漬け丸ごと一本を手に持ちもぐもぐポリポリしてますと

「わん!」

元気な声がしました。
祖父母が飼っている白い雑種犬のケンタロウが黒い瞳をくりくり、
大きなトチノキの下…犬小屋に繋がれこちらを見てます。
なにを期待してるのか…
嬉しそうに尻尾振ってたりしてます…

「そうだ!ケンタロウを連れて皆を探しに行こう!」

身支度を整え玄関で靴を履き、リードを片手に犬小屋へ行くと
ケンタロウは散歩ができると分かったみたいで
千切れんばかりに激しく尻尾を振って大喜びです。
首輪に繋がれた鎖を外してリードに付け替えると私への感謝の念などどこへやら
いきなり、ぐいぐい引っ張り、強引に家を出ていこうとします。

「ちょ、ちょっと待ってよケンタロウ!!」

あまりの力強さに転びそうになりました。
なんか…ケンタロウ…その態度が気に入りません…

「ケンタロウ!ウエイト!ハウス!アテンション!」

負けるものかと渾身の力を込めてリードを引っ張り返します。
四肢を踏ん張り抵抗するケンタロウ…『待て』の命令が通じてないようです。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんもケンタロウのしつけがダメダメです!
なっていません!
身体を反転させてリードを右肩に担ぎ、
柔道の背負い投げみたいな前傾姿勢になって堪える私…
一進一退の攻防がしばらく続いて後、ケンタロウが先に挫けました。
あとは私に従い大人しく犬小屋へ…
リードを外して鎖に繋ぎ変えます。
悲しげな声をあげるケンタロウ…

「ハァ…ハァ…ハァハァ…勝った…ハァ…ハァ…」

息が切れ…両手だって痺れてるし…
おのれケンタロウ…
家の中から油性の極太マジックを持ち出して
ケンタロウに太い眉毛を描きました。
味付け海苔みたいな太い眉毛の下でつぶらな瞳…プルプル揺れてます。
かなりのショックだったのか
くぅん…なんて情けない声出して項垂れ…
でも、眉毛が…眉毛が…太い眉毛が…
面白すぎて脇腹が痛くなってきたし…
涙止まんないし…
ダメ…ツボに…ツボに入った…
死にそう…

「こ、こら!ケンタロウ!両耳垂れたりしたら…
 痛っ!イタタタタ!お腹痛ッツ!!」

お腹を押さえて笑い転げること数分…
ケンタロウの変顔にも慣れてきて、こみ上げてくる笑いがやっと納まりました。

「笑ったまま死んでしまうかと思いました!」

涙を拭いて立ち上がり
すっかり大人しくなってしまったケンタロウを連れて再出発!
なんか…お出掛けを拒否する素振りすらあります。

「どうしたの?あんなに楽しみだったお散歩だよケンタロウ?走ってもいいんだよ?」

眉毛を描かれたショックから立ち直ることができないらしく
念願の散歩へ出掛けられたのに
なんか大人しく私の半歩後ろとぼとぼと…
本当に…

「さっきまで元気だったケンタロウはどこに行っちゃったの?」

ちょっとだけ罪悪感が芽生えました。
売られていく子牛みたいに辛気臭い目をしたお供を連れて
私は祖父母の畑へと向かいました。
途中、おかしなことに気付いたんです。
私…集落の中を歩いている間、誰とも顔を合わせてないんです…
庭に出ている人や…元気に遊びまわる子供達も…
集落の人たち全員、家の中で過ごしているのか…
私一人を残して集落の人間全てがいなくなってしまったみたい…
人の気配がまるでなく…
虫や鳥の声も遠くから聞こえるだけで…妙に静か…
嫌な予感…胸騒ぎがします。

「今度は田んぼへ行くよケンタロウ!」

「きゅうううん」

しかし、そこにも祖父母や家族…集落の人間…だれも見つけることが出来ませんでした。

「もう、思いつく限りのところを調べるしかないよケンタロウ!」

「きゅうううん」

なんか、露骨に動くことを拒否するケンタロウ…ですが…
私は力一杯リードを引っ張り連れていきます。
集落にひとつだけある雑貨屋さん…いろんなイベントの本部となる集落センター…
祖母の一番の親友というお婆ちゃんの家…魚獲りした集落の外れにある川…
本当に…私とケンタロウを置いて全ての人が消えてしまったみたい…

「誰もいないよケンタロウ…どうしよう?」

「きゅぅううん」

「とりあえずお祖父ちゃんの家に戻った方がいいかな?」

「きゅぅううん」

もしかしたら、みんな…家に戻っているかもしれません!
家に帰ると分かったらしくケンタロウ…元気を取り戻したみたいです。
胸を張り尻尾を振って私の半歩前を歩いていきます。

大きな石造りの鳥居が見えてきました。
お祭りの最後に行くお社です。
道路わき…緑色の水を湛えたお堀…お社側に植えられた茨の生垣…
その向こうは鬱蒼とした鎮守の森…
鳥居の前まで来ると…社の中…参道が見えます。
敷石が並べられ…玉砂利が撒かれているのは鳥居から数メートルまでで…
その先は私の背丈を越える草がどこまでも生茂る…
とても参詣する人を迎えるようには出来ていないんです。
お祭りの時…供物が並べられるのは鳥居の手前…誰もその先へは進みません…
私も輿の上から…お社の中に向けて祝詞を読むだけです。

「あ…」

草の上に…人の顔がありました。
知ってる人です。
秀でた額に白い肌…真ん中分けにされた黒髪…赤い唇…
お祭りの時の…あの女性でした。
年齢は…二十歳とか過ぎてるよね絶対…いえ、分からないですけど…なんとなく…

「おはようございます♪」

挨拶すると、女性は唇の端を上げて笑みの形を作りました。
急に後ろへ手が引っ張られました。
ケンタロウが後退りしたみたいで…

「どうかしたの?」

「きゅぅん…」

人見知りするようなケンタロウじゃないのに…眉毛ですか?その太く描かれた眉毛が…
凛々しくていいじゃんケンタロウ♪
やっと…捜し歩いてやっと見つけた人ですよ♪
お祭りの時に何度も会っている人ですし

「お姉さん、集落の人がね…お祖父ちゃんもお婆ちゃんも
 お父さんもお母さんもお兄ちゃんも
 みんないなくなっちゃったの。
 どこへ行ったのか分かりますか?」

女性は静かに微笑むだけ…
集落の人だけ集まる行事とか…もしかしてお社で…でも、両親や兄は…
草むらの奥から大勢の笑い声が聞こえてきました。
なにかお囃子みたいな…笛や太鼓の音も…

「もしかして、お社で何か集まりがあるんですか?」

お祭りの準備とか!?
女性はにっこり笑みを深くした後、きびすを返し…まるで、
ついて来なさい…と、言ってるみたい…
彼女は終始無言でしたけど…私にはそういう風に感じられました。
この集落の方って私を見るとお菓子をくれるんです♪
もしかしたら…美味しいお菓子をいただけるかも!!
草むらの奥に姿を消した女性を追うことにしました。
鳥居を潜った途端、
ケンタロウは四肢を踏ん張り一歩も動かなくなってしまいました。
頑などころか必死で進むのを拒んでいる感じ…

「じゃあ、私一人で行ってくるから
 ケンタロウはここに繋いでいくね。大人しくして待ってるんだよ?」

「きゅうん…きゅうん…」

潤んだ黒い瞳が私に何か言いたそう…
でも、犬語わかんないし…
それで、リードを道端に生えていた木の枝に縛りつけ
私は草むらの中へ分け入り、女性の後を追いました。

濃密な草花の匂い…
私の背丈を越す草で埋め尽くされています。
庭木も剪定もされてない様子で枝が伸び放題… 草を掻き分け進んでいきます。
黄色い翅の蝶々が草の上を無数に飛び交っています。
不思議な蝶々…キチョウでもモンキチョウでもキアゲハでもない…
蛍のような自ら黄色い光を発しているみたいな… 乱れ飛ぶ蝶の向こうに女性の顔がありました。
待っていてくれたみたいです。
草むらから顔を出してこちらをじぃと見つめています。
一歩進むと…女性はこちらを向いたまま一歩後退…
また一歩進むと、草の上に顔だけ出した女性は一歩さがるといった感じで…
私と女性の間はまるで詰まりません。
草を掻き分け掻き分け…私は全身、汗でぴっしょり…
あの女の人…全然、涼しげといった感じ… それに、草を掻き分けてる様子も無く…
草の上に顔を出し、こちらを見たまま…するすると後退していきます。
まるで首だけ…草の上に浮かんでいるみたい…

白粉が塗られた下膨れの顔…
富士額に眉はなく、落ち窪んだ眼窩…金壷眼…
潰れたように低い鼻、逞しくえらの張った顎…
ぎょろりとした丸い目には朱の隈取り…
赤く濡れたような朱を引いた唇…
あの…なんか…
あの女性…
顔つき…さっきと違って…何か怖い…

ついに終点が見えてきました。
空へ伸びるみたいな木造りの階段…
草むらから堆くそびえる小山の上…
勾配が急な檜皮葺の屋根には神棚みたいな千木(ちぎ)、鰹木(かつおぎ)が張り出していて
破風(はふ)には精緻精巧な懸魚(げぎょ)が飾られています。
それから床…寺社にあるみたいな高床式ですが…
いえ、もっともっと床を支える柱が長くて床になる位置がはるかに高い…
こんなお社…今まで見たこと無いです…

その階段を女性はするすると登り…お社の正面にあります扉から…中へ…
入っていった…気がしました。
あまりにも早くて…あれよあれよと…
気が付いたら扉が閉じられるところでした。
こちらを見たまま階段を上がっていく女性の顔だけが印象にあって…
他はまるで見てなかったかも…

たくさんの笑い声が降ってきました。
高くそびえる…あのお社に皆いるんだ…あと少し!
私は歩きにくい草むらの中を進みます。
もしかしたら、両親や兄もいるかもしれません。
階段のところまで着きました。
あとはここを登るだけ…
背後でケンタロウが激しく吼えてる声がしました。
でも、お社に両親達がいると思うと
もう、ケンタロウの声になど構っていられませんでした。
手摺に掴まりながら一歩一歩…
ケンタロウの声が激しさを増していきます。
登る毎に…私を引きとめようとするかの様に…

「なんなんでしょ一体…」

階段を登り終えて扉の前に立ちますと…
鎮守の森に囲まれて全然見えなかったから…恐いくらい高い位置にあるんですねお社…
女性は家の中に入ったきりですね…
床や階段…手摺りは苔生していて…扉も長い年月に耐えた傷んだ箇所が見られます。
建てた時からずっと修繕したことが無いみたいな…

黄色い蝶はこの高さまではやってこられないみたいです。
草むらの上を飛び回るのが見えました。
しばらくあの女性が扉の向こうから現れるのを待ちましたが
出てくる様子…無いです。

それで…我慢の限界…
扉を…そっと…そぉっと…
覗き込むと中は…窓が無いのでしょうか…
人がいるとは思えない…です…さっき上から聞こえてきた笑い声って…
そっとのつもりが…どんどん扉を開けていってしまいます。
正面にきらりと光る…大きな…何あれ…
私の背丈ほどある…丸くて…大きくて…もしかして、鏡?
一般の神社と同じで手前から…外陣(げじん)、内陣(ないじん)、
畳が敷かれた…ご神体が置かれる神座と区切られていて…
御畳の上に安置されてますから…ご神体の鏡…
内部も外と同じで壁や床板は傷みが激しいです。

鋭い吼え声がすぐ後ろでしました。
階段を駆け上って…荒い息を吐く…ケンタロウ…
唇がめくれて鋭い歯列をむき出して
私を…いえ、社の中…敵意のある眼差しで睨みつけ、威嚇の声をあげています。
木に縛り付けておいたリードが解けちゃったんだ…
ケンタロウ…私のことなど眼中に無いようです。
その剣幕に私は扉から一歩二歩と退いてしまいました。
口の端に白い泡を噴き、
気でも違ったんじゃないかって社の中に向かって吼えたてます。
いつも穏やかで…さっきだって太い眉毛を描かれて意気消沈してたケンタロウ…
私は恐くて立ち尽くす以外なにも出来ません。
神様がいるお社に向けてこんな失礼なことして…
あの女の人だって怖がるし…
ケンタロウを宥めないと…
手を恐る恐る伸ばしてケンタロウの背中をなでようとしたその時、
ケンタロウが後ろに吹き飛びました。

「熱っ!」

私の頬に熱い液体みたいなものが降りしぶき…
何が起こったの!?
消えたと思ったケンタロウが
階段を駆け上って再び社の中に向けて威嚇を再開します。
腐った床板に爪を立て、四肢を踏ん張って身構え…
ケンタロウの顔半分が真っ赤に染まっています。

「怪我してるの?ケンタロウ!?」

ポタポタと赤黒い液体が滴り落ちて水溜りを作りだします。
子供の私にもケンタロウがかなりの深手を負っていると分かります。
赤く染まった顔でちらりと私を見るケンタロウ…何か言いたげな様子ですが…
残念ながら…言葉が分かりません。
悲しそうに鼻を鳴らすと…ケンタロウはお社の中へ
唸りをあげて飛び込んでいってしまいました。
すさまじい咆哮…それはケンタロウ以外のものも混じっていました。
な、なにが起きてるの?
壁や床に激しく叩きつけられるような…
ケンタロウと何か…誰かが喧嘩している…そう思いました。
誰か…誰か呼んでこないと…
ケンタロウを止めないと…ケンタロウ怪我していっぱい血が出て…
本心はこんな恐ろしい場所にいられない…だったのかもしれません。
私は手摺りに掴まりながら階段を下り
黄色い蝶が纏わりついてきましたが手で払いながら夢中で…
草の海を渡り
木々の隙間から見え隠れする鳥居を目指して走ります。

もうすぐ、鳥居の前…
伸び放題の草で手足の皮膚を傷つけ、
息が切れ…何度も転びそうになりながら
やっとのこと…石造りの柱まで辿り着きました。
あとはここを潜って通りに出るだけ…

急に頭上が翳りました。

そして、何か固いものが砕けたような音…
ボタボタと熱い液体が私の腕や頭に降ってきました。
なにこれ…急激に冷え…生臭く…粘り気があって…だんだん赤黒く変化していく…
魂の折れるような長い悲鳴…
この声…ケンタロウ…ケンタロウの声!?
見てはいけないのに…見たら…もう…
それなのに私は…見上げてしまいました。
逆光で何がなんだか…
それがゆっくりと…私に向かって下りてきます。
赤く汚れた白い毛並み……ふさふさしてくるりと巻いた尻尾…ケンタロウ…
そのお腹に喰らいつく白い顔…頭には二本の大きな角が生えて…

「あ…あああ…」

変わり果てていましたが…
あの…女性でした…顔が倍くらいに大きくなってる!?
白銀に輝く顔…朱の隈取りの中で血走る目…
長い黒髪を振り乱し…耳まで裂けた口でケンタロウを咥えてます。
地面にケンタロウの血が止め処なく流れ落ち…
あんなにいっぱい…身体から血が流れ出たら…
女性には胴体がありませんでした。
手も足もなく…肌色をしたホースみたいな…首が…伸びて…
ずっとずっと草むらの中に伸びています。
うねうねと蛇体の様に長い首がうねり…
ケンタロウを咥えたまま…
赤い瞳が私を見つめています…
口の端が吊りあがり…
ゆっくり…私に血まみれの顔が近づいてきます。
熱く生臭い息がかかるくらいにまで…
突然、ぐったりしていたケンタロウが…
血まみれの毛が逆立ち
女の人の顔に喰らいつきました。
最後の…この時を待って力を溜めていたみたいに…
咬みつきながらケンタロウは私を見ました。
強い眼光
逃げろ…生きろ…そう言いたげに…
でも…私は四肢に力が入らず…一歩も動けないよ…

「ケ、ケンタロウ…」

前脚が女性の頬を掻き…
突き立てた牙がギリギリと深く食い込んでいきます。
ケンタロウ…宙に浮いたまま…
ゴリゴリと硬い物同士が擦れ合う嫌な音…
痛みの為?耳まで裂けた口がケンタロウを咥え直しました。
身体からはみ出た腸や内臓が地面にこぼれ落ちます。
低くか細い声で…ケンタロウ…
目が力を失い…それでも咬みつくことを止めない…
ケンタロウ…ケンタロウ…
ケンタロウの後ろ足…ケンタロウが私を蹴りました。
足が踏ん張ることが出来なくて…
後ろへ倒れ込む私…
そのまま転がり身体は鳥居の外へ…

「痛いよ…痛いよケンタロウ…」

よろよろと立ち上がる私…
今度こそ力尽きたケンタロウを咥えた女性は…
憎々しげに…私をひと睨みし、
それから、ゆっくりと後退…草むらの中へ姿を消しました。

ゴキリ…ゴリ…ゴツ…コリ…コリ…

固いものを噛み砕く音…

クチャクチャ…ぺチャクチャ…

噛み裂き咀嚼するいやらしい音…

ジュルジュルと啜る…

草むらの中から聞こえてきます。
ケンタロウが…食べられている音…
私に聞かせる為…わざと音を立てて…

「ううう…ケンタロウ…ケンタロウ…」

両手で耳を塞ぎ…
毀れる涙をそのまま…
声をあげて泣きながら…
陽炎立つ焼けたアスファルトの道…
私は祖父母の家へと向かいました。




家に戻ってみると
祖父母に両親、兄の姿がありました。

「お祖父ちゃん…お祖母ちゃん…」

気付いた祖母が真っ先に縁側から裸足で飛び降り
私に抱きついてきました。
血相変えて祖父も飛んで来ました。

「どこ怪我したんだ?どこだ?傷見せてみろ!?」

「それは血が!?いったいどうしたんだぁあよ!?」

ケンタロウの血で汚れた私を祖母が驚いて
撫でさすり私の怪我をしている箇所を探します。

「お祖母ちゃん…ケ・ケンタ…ロ…ケンタロウが…」

「しゃべんな!大丈夫だから!今、医者様さ連れでってやっから!」

祖父が救急車救急車と叫んで母屋へ戻っていきます。
父は私の服を脱がせ傷口…出血している箇所を探そうとしてくれます。
母は…縁側でペタリと座り込み…
隣で兄が手を握って背中を支えているのが見えました。
まるで…テレビのドラマ観ているみたいな…
現実味のない…


そこから三日間、私の記憶はありません。
いえ、このお話自体…
あることがあって
その副産物として…最近になって思い出されたものなんです。
でも、祖父母の家に戻ってからのことは
まるで覚えていないのです。
記憶にある祖父母の家…
両親や兄から聞いたこと…
私が思い出したことを元にお話させていただきました。

祖父母の家に戻った私は大した怪我がないと分かって
身体を洗ってもらった後、布団に寝かされ…
祖父母達に何があったのか語ったのは…夕方、目が覚めてのことだったそうです。
その一部始終を聞いた祖父母が
『夜刀媛』様だ!うちの孫が『夜刀媛』様に誑かされたと叫び…
地区長さんの家に走ったのだと…

夜刀媛(ヤトノヒメ)とは、
奈良時代初期の713年(和銅6年)に編纂され、721年(養老5年)に成立した
『常陸国風土記』に登場する夜刀神(ヤトノカミ)と呼ばれる蛇神のことだそうです。
常陸国は現在の茨城県のことで、『夜刀神』については風土記行方郡の段に、
郡の郡家の周辺の原野に群棲する蛇体で頭に角を生やした神、
その姿を見た者は一族もろとも滅んでしまうと伝えられています。
『風土記』には継体天皇の時代に箭括氏(やはずのうじ)の麻多智(またち)が
郡家の西の谷の葦原を新田として開墾する際、
妨害する夜刀神を討伐し…山へ駆逐して、人の地へ入らないようにと命じ
その代わりに社を創建して『夜刀神』…正式な神として崇めることを誓い、
討伐の指揮を執った麻多智が自ら神官として『夜刀神』仕え…
その子孫が代々祀ることとなったとあります。
また、孝徳天皇の時代に行方郡を建郡した壬生連麿(みぶのむらじまろ)が、
『夜刀神』の棲む谷の池に堤を築こうとすると、池の辺の椎の樹上に『夜刀神』が集まり
邪魔をしてきました。そこで、麿が大声で「民政のための修築であり、王化でもあるが、
それに従わないのはどのような神祇か」と叫び、築堤工事で使役していた人々に向かって
「憚り怖れることなく、『夜刀神』を全て打ち殺せ」と命令した為、
怖れをなした『夜刀神』達は千路に逃げ去ったそうです。
この人面蛇身の神は常陸国に昔から住む山の神であると同時に水神であり、
豊穣の神でもあったといいます。
討伐を受けた際、『夜刀神』の一柱がこの地に落ちのび、匿う代わりに豊穣を約束し…
代々祀られてきたのだそうです。
その為か、平安期から現在までこの地区は一度も洪水被害もなく、
豊作が続き、飢えを知らない生活が送ることが出来た…ということです。
しかし、神隠し…子供が突然いなくなる…そういう事件が頻繁に起こったのだとか…
中世ではそのような現象がいろいろ起こったようですが…
近隣の村と比べても異常な数字だったようです。

しばらくして祖父母が戻り… 『夜刀媛』に狙われない為にも私は二度とここへは来てはならない…
そう言って私たちに帰り仕度をするように命じたのです。
祖父母が両親に話した事を兄は聞いていました。
もしかすると、地区長は私を生贄とする約束を『夜刀姫』としていたのではないかと…
地区長の家は代々『夜刀媛』の社を守る神主だから…
父が…では、あの蛇神をそのまま放置するしかないのかと祖父に食ってかかると…
『夜刀媛』を討滅してしえば、『夜刀媛』の恩恵を受けることが出来なくなり
育てた農作物が気候によって不作になったり、水害に見舞われたりする事になる…
私を生贄に差し出そうとした事は地区長達への貸しにして
祖父母や私達家族がこの件について口を閉ざすと約束させれば…
これから地区長達に準ずる美味しい目が見られる…
犠牲を払いながら今後もこの集落は『夜刀媛』と共生していくしかないのだから…
自分たちはこの土地を離れて生きてはいけない…
そう、祖父母は話を締め括ったのだそうです
父はその話を聞いて祖父母と親子の縁を切ると宣言し
急いで私たちを車に乗せ家に帰ったのだそうです。


家に帰って次の日の夜…
私と兄は家の庭で『夜刀媛』に遭ったのだそうです。
兄の日課である真剣を使って剣道の素振りをしていた時…私が縁側でそれを見ていた時…
今でもそこで何が起きたのか…兄は語ろうとしません。
ただ、ケンタロウのお陰で助かった…
狐狸妖怪の類は騙す対象の眉毛の本数を数えて術をかける…
『夜刀媛』が現れてすぐ、指を唾で濡らして眉に塗り、寝かしたことで
化かされずに済んだ…と…
あれ?私…兄にケンタロウの眉毛の話ってしましたっけ…
なぜ…そのことを兄が知っているのでしょう
それと…庭の片隅に…家で飼ったペット達のお墓の中のひとつ…
いつの間にかあって…
どの子が眠っているのか分からなくて…
家族も何も言わなくて…たまに近くの道路で車に轢かれた動物を
埋めてあげたりしてたけど…
兄の話を聞いて納得しました。
そのお墓が建てられたのって…『夜刀媛』が現れたという日から、
そんな経っていなかったと思います。

兄は一度だけ…そのお墓を首塚と言ったことがありました。
なに?首塚って…と問いただしてみたのですがが…



(おしまい)/ten
[3419]
やあロビンミッシェルだ。

てぃあら氏、ちょ、ちょっとシーー!!

今その話を内緒で書いてる所だ! シーー!!

てぃあら氏の言う通り、マモルが亡くなってからというもの不思議な事が連発しているんだ…彼は俺達家族に何かを伝えようとしているようだ!…ひい…

血苺氏、マモルは多分まだ生まれ変わっていない気がする… 何故かって?…

[3414] マルマルモリモリ♪
ロビン・ミッシェルさん、マモル君は、勇敢にロビンさんを守ってくれたりした名犬でしたね。天に召されても、いざというときには、守ってくれるのかもしれません。夢でピンチを知らせてくれたり、姿を変えて、或いは元の姿のままロビンさんの前に現れ、闘ってくれるかもしれませんね。
[3409] ロビンMさま
優しい言葉をありがとうございます^^

…そうですか、マモルくんも召されてしまったのですね。
でも、マモルくんは、きっとロビンさんの事が大好きだったと思います。


たまもマモルくんも、もう生まれ変わってるのかなあ…
[3407] たま
やあロビンミッシェルだ。

…ペット… いや家族との別れは辛いものだ。
血苺氏、気を落とさないでくれ!
今は辛いが時が… ポチが忘れさせてくれる筈だろう。

俺事だが18年生きた愛犬、魔犬?妖犬?バイリンガル犬?のマモルもこの度天国へと旅立って行っちまったよ…ヒグ…

想像以上に彼との別れは辛く、正直今でも全く立ち直れていない。
結局彼は最後まで俺に懐く事が無かったが、彼の生き様、強さ、優しさを俺は一生忘れる事はないだろう…

さらばマモル…
[3401] たま
実家で飼っていた猫が、この前老衰で死んでしまいました。

20年生きたのですから、大往生だったでしょう。

「もっと長生きしてネコマタになるんだよ」

なんて言い聞かせていたものでしたが…

アメショーの綺麗な雄猫でしたが、名前は“たま”でした。
命名した母に

「なんで?」

と訊くと、

「三毛猫じゃないからミケじゃおかしいし、雄だからミーコも変でしょ」

と、訳の分からない説明をされました。
“たま”も雌っぽい名前な気がしましたが、母曰く

「サザエさんのタマも雄だから良いんだ」

そうで…あれ、雄なんですかね^^;

まあ、私の飼っているボタンインコのケンちゃんの事も、頑なに“ピーコちゃん”と呼ぶ母なんですけど。


たまはとってもヘタレな猫でした。
私がまだ独身の頃、部屋の前で執拗に呼ぶので付いて行ったら、
近所を縄張りにしている野良猫が家に上がり込み、たまのご飯を食っていたのです。

「……」

呆然とする私の影に隠れて、たまは“ウウ〜”と威嚇していました。

飼い主を盾にするなよなぁ…情けない奴です。


両親も、

「ネズミも捕れない阿呆猫だ」
「せめて、金でも拾って来い」

など、良く無茶を言ってました。


そんなたまが、一度だけ活躍したことがありました(って程でも無いですが)。


ある日、母がうたた寝をしていた時、家が火事になった夢を見たそうです。
あっという間に火に巻かれ、リアルに熱さを感じました。耳元では、炎が燃えさかるゴーゴーという音が響いていました。
あまりの苦しさに目を覚ますと、たまが母の胸の上に乗っていました。
耳元に響いていたのは、たまの荒い鼻息でした。

「重いな!どいてよ!」

母はたまを押しのけました。

「お前のせいで変な夢みたじゃない!」

でも、たまは母を訴えるように見ています。

「!!」

次の瞬間、母はキッチンに駆け込みました。

母は、煮物に火を通したままうたた寝していたのです。
煮物は黒焦げになり、鍋の底も真っ黒になっていました。

「たまが火事になるのを防いでくれたんだよ!」

母は暫く、そう言って自慢していました。


二度程病院にかかった事はありましたが、あとは殆ど息災のまま、長寿を全うしてくれました。

流石に暫くしんみりしていた両親でしたが、母はこの前、うちの娘とペットショップに行き、ヨーキーの仔犬に一目惚れして帰って来ました。

犬の散歩は、自分の健康にも良いし…などと、既に飼う気満々のようですが…
きっと、名前は“ぽち”になると思います。

[3337]
読むの断念したことをわざわざ書き込む必要あるのか?
あんたが読むの読まないのなど、誰も興味などないことに気がつけ。
作品を投稿してくれてる人に、やる気無くすようなことを書くものじゃない。
わざわざハンネ入れてまで書き込むことか?
せっかく戻ってきてくれたのに
もう少し重大な案件を諦めたらどうだ?
[3336] 寒天語
レナウン娘あたりで読むのを断念しました……(ToT)
[3330] ロビンミッシェル様
こんにちは♪おひさしぶりです♪
ちょっと手直しに現れました~(@×@;)
感想ありがとうございます♪あちら読んでいただけてたのですねw
冒頭をいじりました♪前回書いた時もかなり説明が不足していたなーと思ってました。
これで少しはマシになったでしょうか?

以前書いた時は河の名前を特定されないようにとかいろいろ考えてまして…
今回はバレバレにしましたw手直しして完全にあの河!ってなっちゃいましたね
まぁ…太郎ですからモロな訳だし…って
次郎と三郎いますし…
サンゲイ様やあちらの神様なのですが…フォントが文字化けしてしまうものばかりで…
サンゲイ様だけは片仮名にして他は文字化けに任せるという感じにしてしまいました。
ありがとうございました♪

長編のお話、後編楽しみにしてまーす♪
頑張ってくださいね♪
[3329] 寒天語
やあロビンミッシェルだ。

これはこげ氏お久しぶりーフ! …ひひ…寒天だけに凍りついてしまったら申し訳ない!

もうこないと思っていたので嬉しいよ。この話は以前も読ませて貰ったが、加筆修正されて更にこげさんワールドに重圧さを持たせているな!

残念ながら俺の頭が無知なせいか、所々消化しきれない箇所もあったが、こげ氏の話は俺の知らない知識が詰まっていていつも勉強になるよ…うふ…

俺の尊敬する作者の一人なので応援している。また面白い話を聞かせてくれ!!…ひ…

フィラリア予防は大切だ…

ノミ、ダニ、日々のブラッシングに散歩、トリミングに肛門しぼり、肉球チェックに歯磨きに栄養管理… ぐう…

犬は本当に手がかかる…

手がかかるがその分愛情がついてくるワン!
か、寒天…ぶるぶる… ひ…

人間として、愛犬家として…
[3325] おひさしぶりでーす♪
こんばんは♪おひさしぶりに投稿させていただきます。
これは以前に書いたものを加筆修正してみました。
怖いお話は私には無理なのでこんなのしか書けませんごめんなさい。
うにゃーひさしぶりなので疲れましたぁ~(@×@;)
また手直しにきまーす
ではでは~失礼します♪
[3324] 寒天語-カンテンガタリ-
『ゆっきぃ~の しーんぐーん こぉりぃを踏んで♪
 どぉれがかぁ~わやら 道さえ知れずぅうん♪』

私達は幽霊が出ると噂されている…所謂、心霊スポットと呼ばれる場所を
休日を利用して訪ねて廻ることを趣味としています。

『ウマァー(゚Д゚)は斃れる 捨ててはおけず♪
 こぉこは何処ぞ 皆敵の国ぃ♪」

ネットで知り合ったA君に
心霊スポット探検を数人の仲間とチームを組んでやっているから一緒にどう?
と誘われたのがきっかけでした。

『ママーよだいたぁん 一服やれば♪
 たぁのみすーくなや たーばこが二本♪』

深夜の山、海、湖、河川、廃墟、廃坑等…
怪異を求めて訪ね歩く…
遊園地などのアトラクションでは味わうことができない
保障も保険も安全装置もまるでない
全ては自己責任でギリギリのスリルを楽しむ
心霊スポット探検…
私は完全にはまっていました。

『やかーぬひぃものに 半煮え飯に♪
 な-まじいーのちのあるそのうちはぁ~あ♪』


今回は日本を代表する河川のひとつで、
その下流にある広大な河川敷の中に生えています一本の木を見ることが私達の目的です。

『こらえ切れない 寒さの焚火♪
 煙いはずだよ 生木が燻る♪』

川原を車で進めるだけ進んで、
そこからは懐中電灯を手に持ち徒歩で向かったのですが…

『しぶーい顔して 功名話♪
 すーいと言うのは梅干ひとつぅ♪』

どこの河川敷にもいるはずの雑霊が…まるで姿がありません。
燦々と輝く星達…
黒々とした穏やかな水面
深夜、空気すら凍りつきそうな極寒の川べりを進む私達…
A君B君C君D君は一列縦隊で
明治二十八年に永井建子によって作詞作曲された軍歌『雪の進軍』を歌ってます。

『着の身 着のまま 気楽な臥♪
 背嚢枕に 外套被りゃ~あ♪
 背の温みで雪解けかかる 夜具の黍殻しっぽり濡れて♪
 結びかねたる 露営の夢を 月は冷たく顔覗き込む♪』

この歌って将兵に愛されてたり陸軍大将大山巌が大変気に入っていて
病床についてもなお臨終の最後までこの歌を聴いていた…なんて逸話があったりするのですが…

『命捧げて 出てきた身ゆえ 死ぬる覚悟で 吶喊すれど~お♪
 武運拙く 討死にせねば 義理にからめた恤兵真綿♪
 そろ~りそろりと 頚絞めかかる どうせ生~かして還さぬ積りぃ♪』

『勇壮でない』という理由から支那事変の頃には
歌の最後を「どうせ生きては還らぬ積もり」に改訂させられ…
大東亜戦争突入後は歌唱禁止となってたりします。
蛇足ですが…アニメ『ガールズ&パンツァー』の9話、
プラウダ高校戦でユカリンとエルヴィンが偵察中に口ずさんでいたのは改訂後の方です。
薀蓄おしまーい♪

「それにしてもぉ~全然っ!出ないですね~A君?」

「ギクッ!」

漫画的な大げさな表現で肩をぴくりと揺するA君…そして何事も無かったかのように行進続けますA君。

「幽霊さんの一人も姿を見せませんねぇ、お留守かしらB君?」

「…………」

聞いちゃいねーですよ!完全に聞こえないふりしてますよ!無視ですよ!
A君の後ろで飄々と…駄目ですこの人…

「レナウン娘の唄みたいにわんさかわんさか無数の霊が押し寄せてくるとか言ってたよねC君?」

「何だこの器はっ!よくもこんな器をこの海原雄山の前に出したな!こんな器で食えるか不愉快だ!」

だめですこの人も…なんかうわ言ほざいちゃってますよ…
次、行ってみます…

「前回、来た時にはもう尋常ではない数の霊が湧いてきて逃げるだけで精一杯だったですよねD君?」

「王大人(ワンターレン)死亡確認!!」

「なんですかそれ?」

聞いてください!ひどいんですよ四人とも!!
こちらへ来ると決まった時、その打ち合わせでですよ?
四人はどこかの米軍海兵隊先任軍曹みたいな口調で
今回向かう心霊スポットは日本でも有数と呼べる大量の霊が犇く場所で
粗塩も御札も消費量が半端じゃない、最高レベルに気を引き締めていかないと
一瞬のミスで全員の命が危機にさらされることとなる!
いつものようなボケかましたら本気で見捨てるから覚悟しろーと曰ったのですよ!
そして、私に二百数十字からなる『般若波羅蜜多心経』を諳んじられるまでになれと猛特訓を課したのです。
如何なる状況下でも唱えられるようにと…
卑猥な英語の歌詞の俺によし!お前によし!なのを歌いながらマラソンさせられたり
フィールドアスレチックみたいな障害物を登り降りさせられたり…
エアガンのM14持たせられて気をつけ!休め!捧げ筒!とか軍隊みたいな規律訓練させられたり
ジェリードーナツが無かったのでミ●ドのフレンチクルーラーを食べさせられたり…
疲れて寝ちゃったところ…石鹸をタオルで包んだモノでポカポカ殴られたり…
この日の為に…
今月今夜…この日の為に…
それがどうですか!?
着いてみれば幽霊様の一欠片もございません!
なんですかあの特訓…
あんまり酷いしごきに耐えかねた私はA君をトイレに呼び出して射殺し
自分も死のうかとまで思い詰めたあの特訓は!?

「幽霊いなくてマジすいませんしたー」

『さーせーんしたー』×3

私の怒りを察しきれてない四名様
振り返りもせず謝罪してきました…
しかも、棒読みで…
誠意がまるで感じられません!!
むかむかむかむかむかむかむかむかむかむかむか

「わ、私もう帰ります!帰らせていただきます!!」

「まぁ、落ち着けって」

私の前を行くD君だけが立ち止まり…回れ右…
にやにやしてるし!怒った!激おこ!

「わーん!
 ゆーれーいっぱいでるっていったのに…A君もB君もC君もD君もみんなうそつき!
 しんじゃえ!ぱるぷふぃくしょんのまーせるすみたいにおかまほられちゃえ!
 れざぼあどっぐすみたいにおかまほられちゃえ!
 しょーしゃんくのそらみたくおかまほられちゃえ!
 すりーぱーずみたいにおかまほられちゃえ!
 あめりかんひすとりーXみたいにおかまほられちゃえ!
 びょうしゃはないけどばっどぼーいずみたいにおかまほられちゃえー!!
 だっしゅつみたいにへんたいほもふたりにおかまほられちゃえー!!」

「お前…さすがと言うか…なんと言うか…
 よくそんなにノン気が変態ホ●野郎に犯されるシーンがある映画知ってるなぁ…
 脱出なんて1972年公開作品だろ?監督がジョン・プアマンで主演がジョン・ボイド…」

なんて、途中で険悪になったりと色々ありましたが
ごろごろ石の転がる河原を踏破し…
そそり立つ一本の木の前までやってきました。

「機嫌を直せ…俺達四人…冬コミの三日間、
 大手並んだり荷物持ちとか付き合ってやるから」

「わーい!みんな大好き!ありがとう♪」

私達はチームです!
ひとりはみんなのために
みんなはひとりのために♪
どんな困難にだってチームワークで乗り切っちゃいますよ♪
仲良きことは美しき哉 アレクサンドル・デュマですよ♪武者小路実篤ですよ♪
もう、すぐに仲直りです♪
これで今年の冬コミ攻略は万全の体制で望めますよ♪

それにしても…見上げる一本の木…
河川敷に生えてる中ではかなりの大木と言える部類じゃないでしょうか…
横に張り出した枝…その下…その地面…
黒々とした焦げ痕が…懐中電灯に照らされ…私達の目に入りました。
木を中心に直径約10m程、下草が無くなってます。
こうなって…それほど時間が経っていない…みたいな…これが…ここで…

「新聞に載ってた焼身自殺の痕跡ってやつか…」

ノイローゼ気味だったサラリーマンがガソリン?灯油?を自ら被って火を放ち…
地面の焦げ具合…焼けた範囲から察しますと…
焼かれ…息絶えるまで…かなり…もがき苦しんだのでしょう…
その様をこの木は…静かに見ていたら…

「木にまで燃え移っちゃったんですね…」

「この木…この数年間で十数人…首を吊って死んでいるんだよな」

関東でも有名な自殺スポットと言われる『●●市の首吊りの木』『●●市自殺の木』…
もしくは『●●市の首ツリー』…
命を絶つのに使ったロープとかは残ってませんでしたが
懐中電灯で上の方を照らしますと…
太目の枝には皮が剥けた…ロープを巻きつけたのであろう痕跡がいくつも確認できました。

「誰か、なんか分かるか?」

ここで果てた人間の未練や無念の残滓を感じ取った者はいるか?ということですねA君。

「私にはわからないけど…B君は?」

まるで何も…感じられません…ここって本当に心霊スポットなの?というくらい…何も…

「おかしな事に…まったく何も感じられん…あるはずの…
 一番新しい焼身自殺したヤツの怨みや未練…狂気の痕跡すら分からない…」

「追い詰められて他の方法が見つからず…止むを得なく死んだ人間が
 何の感情も残さず逝けるものなのか?」

C君もD君も…この木に残ってるはずの…ここで自殺を遂げた人の
生前情報を感じ取る事ができないと口を揃えました。
この川って不思議です…現在、私達に感じ取れる霊の気配…皆無…なんて…
不自然…あきらかに不自然です。
異常です。
あり得ません
その辺の小川だって呼びもしないのに…普通に雑霊とか集まってくるものなのに…
こんな大河であるなら…数十から数百いてもおかしくない筈…
それが皆無…絶対、ここには何かある…と思います。

「少し様子を見ていこう…物好きな霊能者が慈善事業で消したとしても数が知れている。
 なぜ、ここまで霊の気配が無いのかが分かるかもしれない」

しばらく、私達は『首吊りの木』をメインに周囲で何か変化が起こらないかと
見守っていたのですが…20分経過しても何も変化が見られず

「だめだ!これ以上留まったら凍死しちまう!」

「うん!寒いから車に戻りましょ!」

全員一致、収穫無しということで諦めて帰ることにしました。
楽しみにしてたのに…雑霊がわんさか…

「じゃあ、走って行くぞ!」

「え~!走るの!?」

「Mama & Papa were Laing in bed♪」

『Mama & Papa were Laing in bed ♪』×3

「またそれ歌うの!?」

「Mama rolled over and this is what's she said♪」

『Mama rolled over and this is what's she said ♪』×3

「やだもー!!」

「俺達はファミ●ンウォーズのCMソングを歌ってるだけだが?」

「ちがうよ!絶対違うもん!!」

「Oh, Give me some Oh, Give me some♪」

『Oh, Give me some Oh, Give me some ♪』×3

「PT♪」

『PT♪』×3

「PT♪」

『PT♪』×3

「Good for you♪」

『Good for you♪』×3

「Good for me♪」

『Good for me♪』×3

日本語訳は絶対しませんからね!
それで首吊りの木から背を向けて100mほど進んだ時でしょうか…
背後から…メキメキ…バキバキという生木の裂けるような音…
それから…ちょっと遅れて…ビルとかの工事で使う
地中に杭を打ち込む機械の出す地響きみたいな…
強い縦揺れが脚を伝わり全身を震わせました。

「え…な、何!?」

驚いて全員立ち止まったところへまた地響き…

「真後ろからだな」

水鳥や川辺の生き物が立てられる音じゃありません。
振り返って懐中電灯で照らしてみましたが
真っ暗…何も見えません。
今度は先ほどより私達に近い場所で
ススキや葦の枯れ草をまとめて何百もなぎ払うような押しつぶすような…
それは規則的に…
地響きを伴って…

「もしかして………」

確実に近づいてきて…最初の時と比べて地響きだって大きくなって…

「これって…」

「おい!後ろばかり気にしてるな!」

先頭を歩くA君が鋭い声をあげました。

「どーしたの?」

「前を見ろ!
 おいでなすった!雑霊の団体様が今頃お着きだ!!」

懐中電灯で私達の行く手を照らしますと
いつの間にやら白く濃密な霧が壁のようになって立ちふさがっていました。
これ…これは分かります。
今度は私にも感じることができました。

「霧…じゃないんだ…ね」

川霧って夜間の放射冷却によって冷たくなった空気が、
風で水面付近に運ばれて水温が高いから水面から盛んに蒸発する水蒸気を冷やして
霧粒に凝固して発生するものなので、生まれは川の上なんですよね…
でも、私達が見てる霧って河川敷の枯れ野からぞろぞろ湧き出てきます。
こちらへ漂うようにやってきた霧の先頭…人の姿を象っているじゃないですか…
半透明の人影が重なりあって…白く見せているんですね…

「漂ってる内にいろんなのとくっついて悪質化したのだろう、
 ちょっと強めのやついるな」

ブリッジ部分を指で軽く押し上げるB君の眼鏡のレンズが懐中電灯の明かりを反射して
きらりと光を放ちました。
コナン君みたいに…

「今までどこに隠れていたのやら…勿体ぶって」

コートのポケットから抜いた手の指…
指の間にはそれぞれ一枚ずつ御札が挟まっています。

「この前みたいには…行かねぇからなっと!!」

猛禽の翼の如く広げられたC君の手には粗塩の入った包み紙が大量に握られてます。
A君とD君は懐中電灯以外は何も準備しないみたい…あ、照明係さんですね
私は…私は…私は…
私は何かします?

「何やってる!?般若心経を唱えろ!!」

「は、はい!」

A君からするどい声が飛んできました。
背後では数秒置きに茂みがメキメキと潰される様な音…地響き…
どっちも益々大きく…近づいてきてます…

「一体なんなんだあれは!?この忙しくなった最中に…」

「あれ…確実に足音だよ…ね?」

「あしおとぉ!?」

揺れだって震度3くらいあるような…いえ、音がする毎にもっと大きくなってます。

「見えないけど…音からすると二足歩行じゃなくって…
 四本足で…胴体や尾を引きずるような音がないから両生類以外かと…」

「恐竜とか巨大哺乳動物か!?」

「象とかキリンとか!?」

「川にそんなのいるわけがない!!」

あり得ないなんてことはあり得ないってロイ様とかグリードが言ってますけど?

「ディプロドクスとかブラキオサウルスとかスーパーサウルスとか
 サウロポセイドンとかアルゼンチノサウルスとか!!」

「今日は寒いから爬虫類は出てこれねーよ!!」

「てことは…哺乳類か鳥類か?」

「四本足だから鳥類はないな」

「俺らが前を抑えるから後ろの奴が何かなんとか確認してくれ!」

正面に展開する雑霊達も数が尋常ではありませんから…かなりやっかいな訳ですが…
得体の知れない巨大生物が…大きな足音をたてて近づいてくる…
やっぱりこっちの方が脅威です。
B君C君D君の三人が振り返った私の背後と左右を護るようにして立ち
私は足音のする方へ、米軍やFBIでも使用されてる輝度の高い懐中電灯を照射しました。
目を凝らします。

「……………あれ?」

見えるのは枯れ野の上にわだかまる闇だけ…
あとは星…かな…
うーんと…
あれだけの足音を立てるのですから…巨岩のようにそそり立つのがいてもいいんじゃ…
故伊福部昭先生の名曲が聞こえてくるみたいな…
あ…あれ…あれは…星だよね…

「あの赤く二つ並んだ星ってなんだろ?
 大きくて二等星くらいの光を放ってるの…」

「どれどれ?」

私が指差す先…赤い光点

「地平線からかなり上だし…アンタレスの筈ないし…さそり座って夏の星座だし…」

「人工衛星って訳…無いよな」

人工衛星が放つ光って黄色とか青で寒々とした感じですよね?

「それから星の後ろに黒い入道雲?もくもくもくって…」

「星の後ろに雲あるわけないだろ!?それじゃ雲が地球の外にあることになっちまう」

「だって…星…こっちに近づいてる…」

なんか地響きと草の倒れる音とリンクしてる気がします

「A!俺もいま確認した!あれ…目だ…」

私の左隣にいるD君が確認してくれたみたいです。

「め!?」

「やべえ!だとすると高さ10mとか平気であるぞあれ!?」

「俺も分かった!あれってどこかで見たことあるシルエットだ!」

C君にもわかったみたいです

「恐竜か!?」

「ちがう!ユニバーサルじゃなくって東宝系列だ!!」

「怪獣!?」

「どうする!?俺達にはオキシジェンデストロイヤーも66式メーサー殺獣光線車も無いぞ!?」

「逃げる一手しかないだろ!あの雑霊集団を一気呵成に突破して
 背後から来襲する謎の巨大生物に追いつかれる前に車で脱出するぞ!!」

『おう!』×3

「う、うん!」

ごろごろと石の転がる足場の悪い河川敷…それも極寒の深夜…
本気の…命懸け…全力疾走による脱出行が始まりました。

「なんか俺達って心霊スポットで走ってばっかりだな逃げるのに…」

「逃げっぷりも堂に入ってきた気がする…」

目の前に立ちふさがる真っ白い霧の中へ!
白濁した人の顔が目の前に迫ります!

「いやああああああ!!」

無表情…憤怒をあらわにした顔…半分が焼け爛れた顔…等々
生者には絶対真似の出来ない…表現出来ないデスマスク…
そのおぞましさから私は絶叫を放ってしまいました。

「俺達に比肩するのはもうこの世ではドロンボー一味くらいしかいないだろ」

「バカ!まだインディージョーンズがいるだろ!?」

「リプリーだって!映画『エイリアン』では見事な逃げっぷりだったぜ!?」

雑霊軍団の中へ突入したというのに…軽口ぜんぜん止める気配無いです男子…

「なんで平気なのあなた達!?うきゃぁああああああああ!!」

赤ちゃんが…半分溶けかかってる赤ちゃんが…アメーバーみたいな赤ちゃんが…
そしてヘビ!所々壊死してるみたいな蛇体が…パッチワークみたいにボロボロな…
ヘビの攻撃避けると動かないさそりが襲ってくるーさそりの次は毒蜘蛛が!
私はそれを素手で払い落とします!

「煩いぞ!叫んでんじゃねーよ!!」

「こ、怖いんだもん!」

って、怖がっているの私だけ!?なんで平気なの皆!?
人だけじゃなくって動物や魚やらヘビやら訳わかんないのもいるのに!?

「ほら!般若心経はどーした!?暗唱出来るんだろ!」

「だ、だってほら!ここにびちびちのぶよぶよのおんなのひとが…」

「我慢しろ!」

「出来ないよ!」

「毎年、夏冬のコ●ケ付き合ってやるから!」

「観自在菩薩行深 般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子
 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是」

「おおおお!」

「ちゃんと言えてるっぽい!?」

ふっふっふ…頑張りましたもん♪
そして、何よりコ●ケの為!ファンネル(使い走り)獲得の為!

「舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
 是故空中 無色 無受 想 行 識 無眼 耳 鼻 舌 身 意 無色 声 香 味 触 法
 無眼界乃至無意識界…」

「いい調子だ!そのまま頼む!!」

なんだか雑霊さん達の姿がぼやけてきたような…
効いてるのかな私の般若心経…
『般若心経』は大乗仏教の空・般若思想を説いた経典の1つで、
600巻に及ぶ『大般若波羅蜜多経』の心髄を僅か300字足らずに凝縮した凄いものだと言われています。
確かに、それだけの文字数を凝縮すれば
煮詰めたコンソメスープの素みたいな般若心経は私にでも扱える力ある言葉になるかも!
(本当は『大般若波羅蜜多経』からほんの一部を抜粋してちょっと付け足したものが『般若心経』です)

「無無明亦無無明尽 乃至無老死亦無老死尽 無苦 集 滅 道  無智亦無得
 以無所得故 菩提薩? 般若波羅蜜多故 心無圭礙 無圭礙故 無有恐怖 
 遠離一切顛倒夢想」

「バギマやベギラマやイオラみたいにガンガン敵のHP削ってるみたいだぜ!?」

ここでなんでドラクエネタ!?
私を中心に雑霊たちが作る霧がどんどん晴れていきます。


「究竟涅槃 三世諸仏依般若波羅蜜多 故得阿耨多羅三藐三菩提
 故知般若波羅蜜多是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪」

「雑霊の霧からあと少しで抜け出るはずだ!あとちょっとだ!頑張れ!!」

みんなに励まされて私…更に声を張り上げます!

「パイポパイポ パイポのシューリンガン! シューリンガンのグーリンダイ!
 グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助さん!!」

『わざとか手前ぇは!?』×4

般若心経がいつの間にかジュゲムになっちゃった。
途端に雑霊達…力を取り戻したみたいで濃密この上ない白い霧が
私達を押し包もうと迫ってきます。

「ち、違うよ!ワザとじゃないよ!…あ!?」

霧が質量を得…実体化したのか…冷たく身体に張り付いて…
誰かが…腕…掴んでる…

「誰かが私の手を掴んでますけど?」

「俺じゃない!雑霊共に視界を塞がれてこれじゃ方角がつかめない!」

「やだもー!」

白い霧が無数の腕となって私を掴んできます。
掴めるところならどこでも構わないという感じで…腕に脚…う、脇のお肉を…
耳や鼻…む、胸まで…握って…鷲づかみ…
さすが中級レベル!いた!力があります!痛いです!!
弱い幽霊はどう言う訳か身体を寄せてすりすりしてきます!

「いたたたた!いたい!キモい!痛い!キモー!いたたたたた痛ーい!!」

ち、ちぎれるから!!

「もう一回、般若心経やり直せ!!」

「う、うん!」

ええと…なんだっけ最初って…ええと…今日はこちらからこちらのお客さん…違う!
毎度、馬鹿馬鹿しい…ううん…

「頭の中が定番落語でいっぱいになっちゃった!」

「記憶野を有意義に使えよ頼むから!!」

危機一髪みたいです。
どれくらいかと言いますと
量産型エヴァ達を前に活動限界時間を過ぎたエヴァ弐号機に乗るアスカくらい…
必死で般若心経を唱えようと記憶を手繰りますが…
浮かんでくるのは
『時そば』『道灌』『初天神』『八九升』『つる』『からぬけ』…
死んじゃうかもしれないという時なのに
前座落語しか浮かんでこないって何者なの私!?

「も、もうダメ…」

その時、すぐ真後ろでスツーカの落とした250Kg爆弾が炸裂したみたいな轟音と衝撃が!!
地面が激しい揺れ…立っているのが大変なくらいの震度6とか7とか
吹き飛ばされ叩きつけられ転がって…い、痛いです…
でも、生きてるみたいです私…
視界はホワイトアウト状態…
聴覚は…あまりに大きな音を捉えてしまった為か…鼓膜が何も音を伝えてきません。
手足はまだ雑霊集団に絡め取られて動かすことができない大ピンチ…
そこへ…後ろから来た巨大な足音の主に追いつかれ…
万事休す
ついに、この世界とさよならの時が来たと…

(え!?)

覚悟した私の頬に何かもふもふしたものが触れました。
もふもふ…ふさふさ…なんか私の身体をもふもふが…
もふもふ…すっごい気持ちいいです
何これ?

ふさふさもふもふ…

走馬灯がライオンがガオーって吼えるところで一時停止…
(私の走馬灯ってMGM製だったんだ…)
このもふもふって…
不思議な事に私の身体…もふもふを感じた部位に自由が戻ってます。

ふさふさもふもふ…もふもふふさふさ…ふさふさもふもふ…

手が動きます!
足が動きます!
全身もふもふ…ふわふわ…
身体が完全に自由を取り戻しました!
ど、どういうこと?
恐々と目を開いて…

「あれ?」

見渡しますと白い霧は晴れて
寒々とした河川敷の光景…懐中電灯は明かりを点したまま転がってて…
雑霊達は…まだいました。
私の周囲からかなり離れた所に…

「何があったの…あ、みんなは!?A君!B君!C君!D君!?」

近くに人の気配…よっこらしょと痛いの堪えて立ちますと…

「…………………」

「…………………」

「…………………」

「…………………」

すぐ近くに四人はいました。全員無事みたいです。
皆、立ち上がってました。
ほぼ真上へ顔を向け…あんぐりと口を開けて…
何見てるの?
私も真似して上に目を向けると…
巨大な漆黒のもふもふな毛に覆われた顔が見下ろしてました。
ルビーのように赤い一対の瞳…
目の周囲には歌舞伎役者みたいな…こげ茶色の隈取り模様が施されてて…
長く前に伸びた上下の顎…鍾乳石を彷彿させる鋭い歯の列…
上あごの先端には黒く濡れた鼻…巨大な三角に立つ耳…
体高10mくらい?
巨大でもふもふ…すっごいもふもふな…

「わんこ?」

大きさが異常なだけで…あとは物凄く可愛いわんちゃんにしか…
あ、目を細めました♪

「失礼なこと言ってるんじゃねえよ!
 あれはたぶん…川の神だ」

「川の神?川の神って竜じゃないの?」

変な事を言いますよねA君…川の神、河伯と言えば…
『蛇』『亀』『鯉』とか竜に連なる眷族か
『河童』『水虎』などの『水妖』に属するものと思ってたのですが…
この子はどうみてもわんこですよイヌですよDogですよ
学名『Canis lupus familiaris』ラテン語名『canis』
ネコ目(食肉目)- イヌ科- イヌ属に分類される哺乳類の一種ですよ

「Hさんに確かめてみないと分からないが…あれはたぶん…サンゲイかと思われる」

「Hさん!サンゲイ!?」

Hさんというのは、A君の知人で老舗呉服屋の若主人…なのですが
当主となる者は代々、修験道を修めるそうで
そのHさんも子供の頃から修行を積んでて
さらに彼のお爺さんの代からは修験道だけではなく、
仙道にも足を踏み入れており大陸の巫術、仙術に造詣深くて、
鬼神の如き武術の達人な上に超イケメンと言う完璧超人だったりします。
心霊スポット探検で窮地に陥った時、
A君がHさんへ連絡してアドバイスを頂き、危地を脱したことが幾度もありました。
私は未だに会ったことありませんけど…
って、私達は現在おっきなわんわんから目を離さず会話してます。

「サンゲイとは中国の伝説上の生物で、姿は獅子に似る
 明代に編まれた『升庵外集』に登場する
『竜生九子不成竜』…竜が産んだ竜にならなかった九匹いる内の八番目の子供の名前だ」

竜が産んだ…竜にならなかった子供…

「八番目って他にもいるんだよね」

「中国の伝説とか知ってる人間には有名どころが名を連ねてるぞ
 亀に似た贔屓(ひいき) 、四凶の一角である饕餮(とうてつ)…」

「ちょ、ちょっと待って!
 四凶の饕餮って…左伝にある混沌(こんとん)窮奇(きゅうき)檮?(とうこつ)の……」

『左伝』とは『春秋左氏伝』の事で、
孔子の編纂と伝えられる歴史書『春秋』の代表的な注釈書のひとつです。
紀元前700年頃から約250年間の歴史が書かれてまして通称『左伝』(さでん)て言われてます。
もしくは『春秋左伝』とか『左氏伝』…著者は魯の左丘明といわれてますが決定ではないみたいです。
『春秋』と『書経』は共に孔子が編纂したというのですが…
四凶の内容がなぜか違っていて書経は『共工』『驩兜』『鯀』『三苗』となってます。
四凶といいますのは古代中国神話に登場します聖王舜によって
中原の四方へ流された四柱の悪神のことです。

「そういう訳で、竜の子だからサンゲイなら川の神だっておかしくない結論」

「俺は狛犬とか獅子舞の獅子かと思ったけどな」

「俺はキングシーサーかと思った」

「キングシーサーか…ゴジラ対メカゴジラに登場した…懐かしいな」

「『大空に黒い山が現れる時、大いなる怪獣が現れ、この世を滅ぼさんとする。
 しかし赤い月が沈み、西から日が昇る時、2頭の怪獣が現れ人々を救う』
 と沖縄玉泉洞内の壁画から予言を解読した…
 沖縄県八重瀬町富盛にあるシーサーの元祖と言うべき守護神像『富盛の石彫大獅子』がモデルとか」

「なぁ…Aよ、なんでお前はあれと川の神=サンゲイを結び付ける仮説を立てたんだ?」

「サンゲイの事は分かったけど、それは私も是非聞きたいです」

「俺も」

この状況であるにも関わらず、私達はA君に説明を求めます。

「まず、この川の歴史というのが面白い。
 その源は群馬県利根郡みなかみ町にある三国山脈の一つ、大水上山で、
 江戸時代以前は埼玉県行田市付近で東と南の二股に分かれた後南東に流路を取り、
 以後は現在の大落古利根川の流路をたどりながら荒川や入間川を合わせ東京湾へと注いでいた。
 渡良瀬川や鬼怒川などはそれぞれ独立した川で香取海へと注ぐものであったが、
 この川の度重なる氾濫に頭を悩ませていた徳川幕府は東京湾へ向かう河道を閉じて
 渡良瀬川と連結して現在の銚子へと流れを変える東遷事業という大工事を行う。
 それと同時に荒川を入間川へ連結させ独立した水系を完成させた。
 さらに鬼怒川、小貝川などの改修も行われ鬼怒川に合流していた小貝川を独立させた。
 明治期以降にも大規模な改修が政府によって行われ、その時出来たのが渡良瀬遊水地だ。」

「古来から暴れ川だったということか…それを時の幕府や政府が鎮めようと
 大規模な治水事業を行い、時には流れさえも変えさせられた…
 自然に出来た流れでは無いという事か…普通の竜ではないと…」
 
「人の手が入りすぎた川には人の思惑を汲んだ川の神…河伯を迎えたのではないだろうか」 

「天候不順、河川氾濫など人智では及ばないものを御する為に用意されたのが
 竜でありながら竜体を持たず竜の性を持つ存在…
 これほどの大河を治めるには日本に許された三本爪の竜では荷が重い…
 だからこその竜生九子不成竜ということか」

正確には日本に竜神は存在しません。
日本の川に棲む川の神と呼ばれる存在は竜神の眷属…蛟族であるとされています。
まず、竜神というのは五本の爪を持つ竜の中の竜を指します。
玉皇大帝の四方を守る聖獣であり水界の主です。
五爪の竜をデザインした衣類や食器、家具調度品などを使うことができるのは
中国歴代王朝の皇帝のみと厳しく定められ、別格扱いされています。
これらを臣下に下賜される時は必ず爪を一本欠けさせ四爪にする程、徹底されてました。
それでも敢えて竜神と呼べるなら四爪まででしょうか…五爪はもう超越した絶対的な存在ですから。
日本にいる竜は三爪以下かその眷属となっているんですね。
そんな訳で某国はパンダ外交をやる以前はドラゴン外交してました。
それで日本に四爪いないんですね…近代になるまであんまり重視されてなかったみたい…
日本画などを見ていただけると竜はほとんど三本爪になっているはずです。
この大河を治めさせるには絶対に竜神ではなくてはならない…苦肉の策として
竜生九子不成竜に白羽の矢が立ったとA君は言いたいのかな。

「この川の中流から下流にかけて広い範囲で黒獅子舞の伝統行事や黒獅子に関する話が残されてるんだ。
 江戸中期に山形県辺りから伝わったといわれているが定かではなく
 流域一帯で祀られる黒獅子は水神である竜と同一とされ、
 獅子ではなく竜頭で舞う地区もあるそうだ。
 伝わった年代が違うので関連性は無いと思うが、
 香取神宮に納められている国宝『海獣葡萄鏡』の中心にあるつまみ部分だが、
 サンゲイの姿をしているんだ…偶然にしては出来すぎじゃないだろうか」

「香取の地には元々、サンゲイを信仰する人々がいたとかなのかな?
 道教って4世紀にはすでに日本へ伝わっていたらしいですから、
 ありえない話ではないかも」

「それで、黒獅子=竜神=水神…黒獅子をサンゲイでないかと仮定したというのか」

「黒にしたのは水の意だよね?いつかは北海黒竜王あたりと挿げ替えてしまおうとか
 姑息に企んでたとか江戸幕府…何かのどさくさにまぎれて」

「それは勘繰り過ぎかもな
 サンゲイは煙や火を好んで食べて代わりに霧を吐く…火事が多かった江戸期に
 財産を家事から護ってくれるありがたい神だったことだろうし」 

「なるほどな」

「あと、この黒獅子舞いだが…三匹一組で舞われるそうだ。ゲイというのは単独でも獅子を意味し
 サンの文字が三となり三匹の獅子となったとするのはこじづけだろうか?」

「江戸期は音が合ってれば良しとされたりしてたからか?めちゃくちゃな当て字もまかり通ってたからな」

「新撰組のセンとか選と撰の両方使われてたっていうし、一番隊組長の沖田様の幼名は『宗次郎』だったり
『総次郎』だったり『宗治郎』『惣次郎』…果てはご自身で『沖田総二』と署名されてたりと適当三昧…
 ファンとしては正確を期したいのに…」

「歴女…この状況だ、自重しろ」

『うんうん』×3

あんた達だってキングシーサーで盛り上がってたのに…

「それで…この状況をどう打破するんです?」

「アレが川の神だと仮定して、如何に友好関係を築いて家に帰してもらうか
 あちらに帰ってもらうか…
 人は太古から神に貢物を贈ったり、人身御供を差し出したりしたな」

「人身御供!?」

「人身御供は大体が女性だったな」

い、いやな予感がしてきました!

「人身御供を欲したのはだいたいが同じ人間で神自ら生贄を差し出せと言って来たことはないがな」

「昔から為政者ってのは底辺に生きる人間のことなど同じ人間と認めてないからな」

「ああ、神をなだめる為には歌舞音曲、一緒になって遊ぶという風習が日本各地で残っていたりするな」

「天の磐戸に隠れた天照大神を外に出したのは天宇受売命の舞いの力だった」

「それだ!」

四人が一斉に私に向き直り手を合わせて拝みました。

「な…なんですかいきなり!?」

「神様にお前の舞を見せてやってくれ!」

なんで突然そんなこと言い出すのA君…

「ま、舞う?踊り!?」

「アニメ化された時、どうせエンディングで踊る羽目になるんだ
 今のうち練習しておくのも良いだろう」

なにそのアニメ化って…

「それで…アマノウズメはどんな風に舞ったんですか参考までに聞きますけど」

「よくぞ聞いてくれた!俺に任せろ!!
 古事記や日本書紀によるとだな
 まず上半身裸になって逆さにした桶の上に乗り、豊満な乳を見せつける様に背を反らす」

「ハァ!?」

拳を握り締め、鼻息を荒くしてD君が自分でポーズを取りながら説明始まりました。

「次に下半身を覆っていた衣を脱ぎ捨て
 腰を落として足で桶を踏み鳴らし
 集まってる皆さんの前で
 大開脚して
 くぱぁっくぱぁっくぱぁっと!!」

「嘘言ってると終いにぶち殺しますわよDIOみたく!?」

「オ、オラオラかよ!?
 嘘じゃないって!本当だって!ちゃんと記紀に編纂されているから!!」

「古事記にそんなえっちな話があるわけないでしょ!?この変態!!」

「嘘じゃない!嘘じゃないって!ホントかどうだか見てみりゃいいべさわかるっしょ!?」

なにそれ!?絶対にありませんよそんな卑猥表現が古事記にあってたまるものですか!?

「なぁ、お前等…立て込んでるとこ申し訳ないが…
 ちょっと見てみろ
 川の神様が嬉しそうにこっち見て尻尾を振ってるぜ?」

「え!?」

「今のやり取りが面白かったみたいだ」

小首をかしげたもふもふ顔の中で赤い目をくりくりさせて
栃木県那須町芦野に植えられてる遊行柳みたいな尻尾をパタパタと振ってらっしゃるじゃありませんか…
パルテノン神殿の柱みたいに太い前脚…爪は凶器というより質量兵器ですね…
地面をもぎゅもぎゅして…可愛いけどすごく怖いです!

「もっとやれって催促されてるみたいだ」

「え!?」

サンゲイ様?神様?のことなのでどの部分でツボったのか分からないし
困惑するだけで…どうすることもできず…
しばらく…見つめ合ったあと…サンゲイ?様は飽きてしまわれたのでしょうか…
すくっと四本足で立ち上がりまして…河の上流側にわだかまってる
雑霊集団のところへ子犬みたいな元気いっぱいで走って行ってしまいました。
ぴょんぴょん…軽々と跳ねるように行かれたのですが…
あの質量です…私達の身に
立っていられない程の激しい揺れと空気を震わす衝撃波が襲ってきました。

「質量伴う…実体系神様って…存在するだけで人間が迷惑を蒙ることになるんだな…」

「で、あのもふもふ神…あっちへ何しに行かれたんだ?」

ぶんぶんと千切れんばかりに尻尾を振って…
サンゲイ?様は雑霊達の霧へおもむろに頭を突っ込むと…

「も、もぐもぐされてらっしゃいます…美味しそうに」

「食ってる…雑霊を…鰯を群れごと食べる鯨みたいに…」

「死んでるけどあれも一種の踊り食いか?」

「しらうおかホタルイカみたいにぱくぱく食ってるな…」

「のどごしが良いみたいだな…雑霊の踊り食い…」

大好物なのでしょうか?
雑霊をまとめて十数体?もぐもぐと…もぐもぐと…

「だから最初いなかったんだ!」

「ん?何がですA君?」

「俺達来た時に霊の姿がひとつも無かったのはもふもふ様が
 食い尽くした後だったんだよ!」

「う……………」

「自殺した人間の無念や執念や遺恨も全部、あれが食べちゃったから
 痕跡すら残っていなかった…という訳か…」

「それなら理由がつく…な…」

「あんなのが存在する理由が見つからないけどな…」

ここで命を絶たれる方は…もしかするとこの神様の存在を知ってたのかも
死して尚、恨みを現世に残したくない…
怨念に凝り固まった醜い自らを他者に見られたくないが為に…
ここを最後の場所と選ぶのかも…
そして、あの神様もそれを知っているのかも…
夜明けを目前に寒さが一段と厳しくなり…
私達…帰ることにしました。
もっと見ていたい気もするのですが…

「神様の崇高なるお食事を邪魔したくないからな…」

大きさを考えなければ
子犬が一生懸命ご飯を食べてるみたいですっごく可愛いんですけど…
高さで言ったらガンダムとかモーターヘッドくらいあるんですよね…
可愛いのに…

「危ないところ助けていただきありがとうございまーす!
 今度、ちゃんとお礼にお伺いしますねー♪」

私が手を振るとサンゲイ?様は大きな尻尾をパタパタ振ってくれました。







帰宅したのは…午前五時を過ぎてまして…
疲れと眠気で
お化粧取らないとだめなのに…お化粧…とらな…
ベッドへ倒れこみ…そのまま…
深い眠りを無理矢理破ってくれたのは
階下からする母が私を呼ぶ声でした。

「せっかくの日曜日だっていうのに、
 いつまで寝てるの!?
 可愛いお客さんが来てるわよ!!」

時計を確認するとまだ八時じゃないですか…

「ん…お客さん?」

可愛いって兄の子の…でも、だとしたら名前で言う筈です…
全然寝足りない…しょぼしょぼする目をこすりながら階段を下りていきますと…
信じられないものが…

全身を覆うもふもふの黒い毛
赤い両のまなこ…その周囲を茶色い隈取り…

「ええええ!?」

母の脚に絡みつくようにして…じゃれつく…

「この子犬どこから来たのかしら
 すっごく可愛い子ね」

「きゃん!きゃん!きゃん!」

ついさっき、某河川敷で相対してたアレと…
そっくりな…お姿…1/60スケールで見事に再現されてて…
抱き上げた母の頬をピンクの舌でぺろぺろと舐めてらっしゃいます。
尻尾を千切れんばかりに振り回し…

「首輪もないし飼い主いないなら…家で飼おうかしら…ね?」

お母様…同意を求められても返事に困ってしまうんですけど…

「でも、家にはメイちゃんいるから…」

「あれはあんたの猫でしょ!?私もこんな可愛い子欲しいわ!!」

鼻チューしてらっしゃいますお母様…
気に入っちゃったらしく手放す気は無いみたいですお母様…

「家の子になっちゃう?」

「きゃんきゃんきゃん♪」

激しく同意しておられます…

「君の名前は太郎ちゃんだよ♪」

「きゃんきゃんきゃん♪」

名前…付けてもらって大喜びみたいです。
だいたい合ってますね…
某河川の異名と…
いきなり家族が増えてしまいました。
お布団は母と一緒なので揃える物はあんまりなく済みました。
気がかりなのは…
この子がもふもふのサンゲイ?様ご当人なのか…
しばらく様子をみていたのですが
半年過ぎても変わったことは起きず
結局
他人の空似だったみたいです。
人じゃないから…
他犬の空似?
他神の空似?

そんな訳で
晴れ渡った空の下
母と太郎は元気に散歩へ出掛けていきました。





あ、
太郎は、ちゃんと予防接種も受けてますよ♪
狂犬病予防注射に混合ワクチン注射…フィラリア予防にノミダニ予防…
それから健康診断、
もちろん登録もしてますよ♪
犬として



(おしまい)

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