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【怪談】ホテル無数の手

ホテル無数の手


6年前の話しです。

私と元カレはド○モの勉強会を兼ねた代理店会のパーティーに出席しました。パーティーの後、いつもの飲み屋でしこたま飲みホテルに向かいました。

いつもならすぐそばの東○インのスイートに泊まるのですが、その日は予約が取れなかったのと、たまには雰囲気の違う所に…と言った理由で、目の前が海のホテルを予約したとの事。

かなり霊感の強い友人が、死ぬ思いをしたと言ってたので私は少し不安でもありました。

が、お酒の勢いも有り3ヵ月振りに逢えた嬉しさも有り、そこそこ有名なホテルでも有るのでそんな不安も何処へやら。

タクシーは海沿いを走りマリーナを過ぎた辺り…いきなり悪寒とチキン肌と冷や汗。

確かに、パーティーでシャンパンをしこたま飲み、飲み屋でワインを2本空け、焼酎のロックを3杯飲んではいましたが、私なりにいつもの事で…

暗黙の了解で、どちらかがしこたま飲む時はどちらかが控える。その日は仕事絡みだったので彼が控えて私は飲みました。

いきなり酷い耳鳴りがして、物凄く気分が悪くなり…ホテルの前に着いた時点で腰から下の感覚は無かった。

帰りたい…行ってはいけない…そんな嫌な気分でしたが、彼はスペシャルスイートに泊まれる事でウキウキ。私の異変には気付いてくれません。


そのホテルは目の前が海、横には小高い山と言う場所に有ります。耳鳴りはどんどん酷くなり、腰から下には力が入らなくなり…かろうじて歩ける感じ。

自動ドアが開いた瞬間、私の耳のそばだけ風が吹き抜けました。ホテルのフロントのそばには壁に嵌め込まれた岩のオブジェから水が流れてます。そこから無数の手が…

彼には全く見えない感じらしく、チェックインを済ませ後ろを振り向こうとした時、私がギャーと叫び床に座り込みました。

助けて…助けて…嫌!まこちゃん助けて~!

座り込み泣き叫ぶ私を単に酔っ払いと思い、夜中2時にホテルのフロントで騒がれた事への恥ずかしさから、私の頬を殴りました。

立て!と言って後ろから抱えて立ち上がらせようとしましたが、私はビクとも動きません。

彼は剣道3段・柔道初段・居合道初段・空手初段…の所謂、武道派な人間故、ちっこい私なんてのは簡単に持ち上げられる筈でした。

騒ぎにフロントマンとポーターの3人が走り寄り5人の男に抱えられました。身体の左右に1人づつ、右足と左足に1人づつ、で、彼が頭を…

どんなデカい男の酔っ払いでも大の男5人で抱えるなんて事は有り得ないでしょう。それが5人共、渾身の力で42キロの女を抱えてます。

…当たり前です。私の身体は床からにょきにょき出てる何十本もの白い手で、床の中に引きずり込まれそうになってる訳ですから。

エレベーターの中でも同じでした。

何とか部屋に着き私をベッドに置くと、彼はスタッフに深々と頭を下げ…ガタガタ震えながら泣く私の頬を彼はまた殴りました。折角の夜を台無しにしやがって!と罵りスーツを脱ぎ捨てベッドに潜り込みふて寝です。

私は何が何だか解りませんでしたが、気を失ったのか目が醒めたら朝でした。

彼はまだ怒りが収まらない様で、まだ誰も動かない早い時間にこっそりここを立ち去れ!と言われ、朝5時半に私はホテルから追い出されました。フロントを通らずマリーナに出られる為、そこから歩いて市内迄帰りました。

途中、ふと気付くと何故か両手を拳にしてた。手の中に違和感を感じて両方開いて見ると数珠玉を1個づつ握り、然も天然石である水晶が粉々。残りの玉は、どこにも見当たりません。

何とか家に着き服を脱いだら、大小様々な手の痕が全身に…そして左胸から残りの数珠がバラバラ零れ落ちました。

…何故? 未だに不思議です。

当然の事ながら、私達2人はそのホテル出入り禁止になったみたいで…私の中では、誰が二度と行くか!って感じです。

因みに隣の小高い山には自殺の木ってのが有り、何故か毎年数人の首吊りが有るらしく心霊スポットとして有名です。
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コメント

[1642]
無数の手より、

何かに怯え泣いている彼女を心配したりうろたえるではなく、殴るこの馬鹿男が一番怖かった。
[1640]
元カレとスウィート予約してウキウキのところが一番怖かった…。

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