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【怪談】猿真似/HN:河上龍泉

猿真似/HN:河上龍泉


飯沢さんはその夜、友達の秋子さんと共に秋子さんのアパートで小さな二人だけの新年会をしていた。

途中、お酒がなくなった。飯沢さんが買いに行こうとすると、私が買ってくるわとと秋子さんが飲み物を買いに家を出た。

秋子さんを待ってると、ピンポーンと呼び鈴が鳴った。念のため秋子さんに言われて鍵をかけたので、(秋子かな)と思い、玄関のドアに向かった。

サンダルを履いて、一応覗き穴から外を確認する。すると、おかしい。覗き穴から見えるのは黒い闇。覗き穴全体を何かがふさいでいて何も見えない。

おかしいなあと思ったが、秋子さんのイタズラだと思い「秋子、イタズラはやめてつまんないよ」そう言うと、覗き穴から見えていた黒い闇が急にパッと消えた。

え?と思ったのもつかの間、急に何かが下からせり上がってくる。

それは知らない女の顔。異様に顔が真っ白でそのためか唇の赤さが際立ちまるで血を塗ったように見える。

思わず、(やだあ)そう言った。

するとドアの向こうから同じ声で、まるで録音したかのようにその女の口から

(やだあ)と聞こえた。

それから女は驚いている自分に向かって、ニヤッと厭な笑いを浮かべた。


気づいたら、玄関にへたり込む自分を友達の秋子さんがベッドに寝かせたらしく、横に友達が心配そうに「大丈夫?」と聞いてきた。

どうやら気を失ってしまったようだ。友達は鍵を使って入ったらしい。

今見たことは友達には言わないでおくことにした。これからも住み続けるであろう友達を怖がらせるわけにはいかない。

何もなかったふりで、なんでもないよと言おうとすると、秋子さんは、一言。

「ああ、あの女でしょ。よくくんのよ。今の彼氏の前の彼女なんだけどね」

(ああ、あの女の人は生きてる人なんだ)そう思ったが秋子さんはそのあとこう続けた。

「自殺してもうこの世の存在じゃないんだけど、まあ気にしないでね」

そう言った秋子さんが妙に冷静で怖かった。

それ以後、秋子さんのアパートにはあまり行く気がしない。
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