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【SS】罪と罰/HN:いくゆみ

罪と罰/HN:いくゆみ


「聖示くん、ごめんね。買い物に付き合わせて」

真琴さんが僕に言った。

「いえいえ。買い物くらい、いつでも付き合いますよ」

真琴さんは大学生で僕は高校生だ。

僕は真琴さんのお兄さんに大変お世話になった。

彼女を守る事こそ、僕の役目であり罪滅ぼしであり恩返しなのだ。

「あー!聖示くん、聖示くん」

声のする方を見ると遠藤綾乃さんがいた。

彼女は真琴さんのお兄さんの知り合いである。

だが、あまり会いたくない人物だ。

何故なら厄介事を持ってくる人間なのだ。

『事件巻き込まれ体質』

それが彼女に与えられた称号である。

「こんにちは、遠藤さん」

軽く会釈をした。

「いやはや困った事になりまして」

これは彼女の決まり文句みたいなもんだ。

「どうしたんですか?」

優しい真琴さんは心配した様子で声をかける。

「真琴ちゃん!それがね…それがね。宇宙人見つけたの」

遠藤さんは突拍子もない事を言い出した。


話をまとめるとコンビニに行って宇宙人みたいな店員を見つけたという事らしい。

たぶんだが、ただの人だろう。

とは思うのだが遠藤さんの巻き込まれ体質を馬鹿にしてはいけない。

彼女が持ってくる事件はいつも大変な事が起きる。

そして…僕が解決しないと話を真琴さんのお兄さんに持っていく。

出来れば僕が解決して、お兄さんには迷惑をかけたくはない。

「よ!」

僕たちが話していると間の抜けた声がした。

佐藤である。

「何してんの?お前ら」

「なんだ佐藤か」

「佐藤さんな!」

どこぞのプロレスラーのやり取りかよ。

別にどうでもいいのだが遠藤さんが佐藤に説明し始めた。

「なるほど。宇宙人捕獲作戦だな」

捕まえるとまでは言っていない。

こいつが入ってくると話は更に面倒になる。

「なぁ秋山。宇宙人みたいな店員って馬鹿な話だと思ってるだろ?案外…分からないもんだぜ」

僕の思っている事を…佐藤の癖に。

「俺の情報によるとあながち笑ってもいられない話だ」

「佐藤は宇宙人とか信じるんだな。意外だよ」

僕は率直な意見を言った。

「お互いに不思議な事はたくさん体験してきただろう?今更、宇宙人くらいで驚くかよ」

まぁそうだ。

「よーし!コンビニ店員である永田という宇宙人を捕獲する作戦だ」

この場を完全に仕切りだした佐藤。

こういうところは僕にはないカリスマ性だといえなくはない。

佐藤はあっという間に計画を立てた。

計画と呼べるようなものでもないが。

ただ拉致してくるだけの完全なる犯罪行為である。

「お疲れっす。失礼します」

背が低く男にしては声が高め。

宇宙人かもしれない永田という男はバイトが終わったようで帰ろうとしていた。

ただの人間なら僕たちは皆、捕まるかもしれない。

いや相手が宇宙人であっても犯罪なのかもしれない。

しかしワクワクしてる自分がいた。

あの角を曲がったところで人気のない民家もあまりない場所になる。

佐藤情報を信じるなら、狙うならそこだ。

ドサッ

角を曲がると永田が倒れていた。

僕たちメンバーは誰も永田に接触していない。

そこには特徴がなく身長も普通で髪型も普通、少し痩せ型で不気味な雰囲気の男がいた。

「あんた…なにも…」

「よ!川原じゃんか」

僕が聞こうとすると佐藤が先に声をかけていた。

川原と呼ばれた男は佐藤と話している。

どうやら目的は僕たちと同じらしい。

薬品で眠らせたようである。

僕たちよりも、ちゃんとした計画みたいだ。

「残念ながら運転免許を持っていなくてね。もう少しで郷原ちゃんが来るはずなんだがな」

川原さんはニコニコとしていた。

僕と真琴さん、遠藤さんに佐藤、そして川原さん…倒れている永田という何ともいえない状態。

誰かに見つかればヤバい状況である事は間違いない。

人気のないところだ。

そうそう人が通る訳がない。

ないはずだった。

振り返ると人形…いやフィギュアというのかな?を持った小学生くらいの男の子がいた。

マズい見られてしまった。

とりあえず捕まえないと。

「よ!光太郎じゃないか」

「健太兄ちゃん!久しぶり」

また佐藤の知り合いか。

にしても交友関係が広いな。

そして…変わった人物が多い。

川原さんは怪し過ぎるし、光太郎くんは…何も言うまい。

「宇宙人を捕まえた!?凄いよ、健太兄ちゃん」

光太郎くんに経緯を説明する佐藤。

光太郎くんは終始、目を輝かせていた。

プップー

車のクラクションの音。

車には詳しくないので、よくは分からないが大きめのワゴン車が停まっていた。

郷原さんと思われる女性が運転席に、あと小学生くらいの女の子が助手席いる。

「郷原ちゃん、遅いよー」

「博士、この地図では無理があります」

郷原さんが出した紙切れには大雑把に、このへんと書かれていた。

この地図で辿り着いた郷原さんを誉めるべきである。

永田を車に詰め込み、皆で車に乗った。

流れるままに『宇宙人(仮)捕獲作戦』は達成されたといえる。

「げ…梶井」

助手席にいる小学生くらいの女の子が言った。

「あ!木村さん」

それだけ話すと会話が無くなった。

同じ学校かクラスメイトといった感じだろうか。

あまり詮索はしない方がいいだろう。

僕たちは、たまたま集まっただけなのだから。

「なぁ川原、宇宙人捕まえたけど後はどうするんだ?」

佐藤が皆の思いを代弁した。

だが、この男が宇宙人捕獲作戦とか言い出した気がする。

後の事は考えていなかったのか。

「そりゃあ調べますよ。あとは記憶を植え付けて次の宇宙人捕獲のエサにします」

記憶を植え付け…る?

今の技術でそんな事が出来るのか。

「すげぇな記憶植え付けたりって出来るんだ。やっぱり実験体って一人じゃ足りないもんなのか?」

佐藤と川原さんの会話は続く。

「実際に試した事はないけど理論上は可能だよ。多いに越した事はない。実験体の個体差もあるだろうからね」

「まぁ、あとは任せた!」

何と適当な男だろう。

「あ、あの…聖示さん、真琴さん」

小声で話をかけてきたのは光太郎くんだった。

「ぼんやりとなんですが、お二人のところに幽霊がずっといるようなんです」

フィギュアを片手に光太郎くんは言う。

光太郎くんは不思議くんなんだろうか。

「すみません、信じられないですよね」

そう言う光太郎くんに真琴さんは優しく「怖いなぁ、悪霊とかじゃないよね」と言っていた。

すかさず光太郎くんは「温かい感じがするので大丈夫だと思います」と返している。

「はっきり聞こえませんけど…カワカミさんっていうみたいです」

この時、僕は彼が本物である事を確信した。

そうか…許される事ではないのは分かっている。

それでも自分のせいで今でも成仏出来ずにいるのは申し訳なかった。

「大丈夫?聖示くん」

真琴さんが元気の無い僕を気遣ってくれた。

そんなに今の僕は…弱っているように見えるのか。

僕が真琴さんを守らないといけないのに…いつも僕が守られている。

そのあとは遠藤さんが「面白かったねー」とか佐藤が「また皆で集まって何かやろうぜ」とか騒いでいた。



「と報告するのは、これくらいかと思います」

僕は今回あった事を真一さんに伝えていた。

真一さんは図書室の本を読みながら僕の話を聞いている。

「ありがとう聖示。まぁだいたい聞いていた通りだった」

ん?

佐藤にでも聞いていたのだろうか。

まぁ、僕が聞くような事でもない。

「真一さん、僕は…」

「聖示、死ぬ事は償いじゃない。誰かも言っていただろう。生きる方が闘いだって」

分かってはいる。

それでも近くにいて成仏していないと聞かされたら…今の僕には死ぬ事で償うしか思い付かない。

「今からの事を絶対に秘密に出来るか?」

僕は首を縦に振った。

真一さんは何もない方へ手招きするような動きをしている。

あれ…

僕は目をこすった。

さっきまでいたはずの真一さんが、まるで別人のように見える。

僕はその人に見覚えがあった。

『川上明日香』

僕が殺したうちの一人でもあり、最後の人だった。

「私はあなたを許す事は出来ません」

分かっている、当たり前だ。

「でも私は知ってます。あなたが苦しんでいる事。毎月毎月、自分が殺めてしまった人達のお墓参りに行っている事」

見られていたのか、知らなかった。

「だから忘れないで下さい。後悔し続けて下さい。生きて罪を背負い続けて下さい」

手厳しいな、死んで楽になる事など許してはくれない。

「あ、私が成仏しない理由は別にありますので…気にしないで下さいね」

僕は昔の事を思い出していた。

『どこから僕の事を…』

『こいつ何者なんだ。』

『警察ですら僕には辿り着いていないはず。』

そうか…

そういう事だったのか。

「許してもらおうなんて思ってません。それでも、あなたと真一さんがいたから…」

僕は土下座をした。

「…今の自分があり、やり直せたと思っています。すみませんでした。そして…ありがとうございました」

僕は真琴さんを殺さずに済んだ。

「では、今後も鈴木くんを宜しくお願いしますね」

そう微笑んで彼女は消えた。

「終わったみたいだな。つ…か…れ…た」

真一さんは椅子に寄りかかっている。

どうやら幽霊に身体を貸すのは疲れるらしい。

「川上さんは今もそこに?」

「いるよ。何かニヤニヤしてる」


ガラガラ

図書室のドアが開く音。

「OBの鈴木くんと秋山くんじゃないか」

ロン毛で丸眼鏡、髭が特徴的な伊東先生だった。

「いやぁ、鈴木くん久しぶりだね」

「お久しぶりです!伊東先生。元気そうで何よりです」

「ありがとう。最近は老眼も酷いし、腰も痛いし、元気か怪しいけどね」

二人は楽しそうに会話していた。

「そうだ、そうだ。二人は宇宙人って信じているかね?」

あまりにもタイムリーな話に僕と真一さんは顔を見合わせた。

そして笑った。

伊東先生だけが、きょとんとしている。

「二人とも、どうしたんですか?」

「俺はいると思いますよ」

真一さんが答えた。

一番ビックリしたのは川原さんの実験だ。

あの永田というやつは本当の宇宙人だった。

そして永田に記憶を植え付ける事にも成功。

今は永田をエサに宇宙人実験体を更に捕まえようとしているらしい。

これを公表したら凄い事のような気もするが、川原さん本人は興味もないようだ。

「僕もいるんじゃないかと思います」

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