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【不思議】復活

復活


今回はおいらの体験談。広場に投下してもいいんだけど、ま、物のついでって言うじゃん(笑)


こんな俺にも大学に通っていた過去があってな。二年の夏休みだったか、狂ったようにバイトに明け暮れてた時期があったんだわ。

スープラSZ-R6速マニュアルがどうしても欲しくなっちゃってさあ。勿論新車でね。当時は「こいつは俺に乗られる為に生まれて来たんだ」とかマジに思ってて、寝る間も惜しんで日夜バイトに励んでたわけさ。

苦労して手に入れた物って大事にするもんでね。俺のスープラ、いまだにピカピカでバリバリ走る。

けど、今思うとその車のせいで危うく命落とすとこだったんだわ。

あの日は確か、コンビニ店員やった後、スナックの厨房に入り、帰宅してすぐにシャワー浴びてさ、三時間後には警備員の格好して、バイクで現場に向かったんだ。

いわゆる旗振りってやつなんだけど、その日は初めての現場でさ、これがまあ、退屈極まりない仕事だったんだわ。

前の週はずっと片側交互通行の車両誘導だったから、恐いお兄さんに怒鳴られたり、綺麗なお姉さんに見とれたりと、それなりに暇潰しが出来たんだが、その日は何と、でかい穴の横に立ってりゃいいってだけの任務。

その穴、直径が3m近くあり、上から覗くと20mくらい下で何かの工事してた。地下鉄の工事かな?とも思ったが、金さえ貰えりゃいいんで聞きもしない。

要は通行人が落ちないよう見張ってろって仕事。

その日は朝から暑くてさ。オフィス街の一角だったから9時過ぎるとまあ人が通らない。ビル群の中だったらまだ影もあるし良かったんだろうけど、街外れの公園の側だったから直射日光が凄いのさ。

更に悪い事にすぐ前の道路じゃアスファルトの舗装工事やっててな。視界全てが陽炎でユラユラ揺れるわけ。

あの時の自画像描いたとしたら、迷わずメット被ったムンクの叫びだな。


だりぃなあ…

疲労が頂点に達したまさにその時、「兄ちゃん、飯にすっか」後ろから声をかけられた。

「はーい」

俺は待ってましたとばかり振り向いた。その時点で前傾姿勢からダッシュした直後の体勢。半ば跳んでいる状態だった。

(わ!!)

目前にはデカイ穴。

連日の寝不足もあって、俺はあろうことか、背後にポッカリ空いた穴の存在をすっかり忘れてたんだ。

(オワタ…)

完全に、100%完全に死を覚悟した。どうせ死ぬなら頭から落ちて楽に死のうと思ったぐらいだ。

その時だ。

クン!!後ろから髪の毛を何かに掴まれたんだわ。凄い力だった。真っ逆さまに落下する体勢だったのに、持ち直すどころか、後ろに飛ばされたんだから。

俺は仰向けに倒れ頭をしたたかに打った。

「いってえなあ!!誰やねん!!」命の恩人に罵声を浴びせる俺。

後ろには誰もいなかった。

これだけの話。

不思議なのは、メット被ってたのに明らかに髪の毛を掴まれた感覚があった事。

ちなみに、「飯にすっか」と声を掛けたおっさん、その人反対側で通行人見張ってた連れなんだけど、何が起こったのか聞いても教えてくれず、その日から妙に俺の事避け始め、しばらくしてガードマンを辞めてしまった。

穴の存在を完全に忘れた状態で、声を掛けられるまでにも結構ウロウロしてたのに、よく落ちなかったなと今振り返ってみてもゾクゾクするよ。



2015年01月31日(土) 04:41
天通の七不思議さん ◆-
※天通の投稿広場より掲載
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