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【怖い話】ゴミ屋敷の秘密、叔父の秘密②/HN:退却のコビト

前編を読む

「俺1人タバコ吸わないでいたら、木刀の佐伯にタバコ勧められたんだ。ここまでこれたのはお前の力があったからだとか、なんか俺をすげぇ奴扱いして、ヤンキーのグループに入れたいみたいだった。

このゴミ屋敷の二階にたどり着くまで緊張が続いてたから、ちょっとした達成感とか正直感じてた。その勢いもあって、俺は佐伯からタバコを一本もらった。佐伯に火を着けてもらって、産まれて初めての一口。…頭がクラッとした。悪くないと思った。それ以来ずっとこいつと一緒にいるようになったんだ」

叔父はまたタバコを指でトントンして取り出し咥えた。

「俺君はタバコ吸わないの?」

「俺は…前にカッコつけて吸ってみたけどなんか、むせて逆にカッコ悪くて、自分はタバコ吸いに向いてないみたいで」

「…ふーー…そうかそうか。タバコはな、吸わない方がいいからな。本当に。

…初めての一本を吸ってて、まず灰の処理に困ったんだ。佐伯に なぁ、この先端に増えていく灰はどうしたらいい? って聞いた。そしたら佐伯のやつ、 適当に落としとけばいいんだよ なんて言うから、俺も適当に落とそうかと思ったけど畳の上だぜ、ビビりの俺にはできなかった。

だから部屋の隅、真ん中のふすまの近くに落ちてた雑誌の表紙でなんとか火を消した。ヤンキー4人は畳の上だと言うのにいつも通り下に落として靴で踏みつけて火を消してた。やばいよな。

タバコ吸ったせいか冷静になって、俺は人の家に勝手に入って勝手にタバコ吸ったという、人生で初めて犯罪を犯してしまった罪の意識にさいなまれ始めた。そして、さっき俺が灰皿代わりに使った雑誌が、女性向けの物だと言うことに気付いた。ここに住んでいるのは独り身の爺さんだけのはずだから、おかしいんだよな。

だんだん俺は部屋の奥側が気になりだした。人の気配は無かったから、一服終えたヤンキー共に部屋の奥見てこいよと促した。今までの学生生活では俺が下っ端だったのにいきなり俺が一番上になってた。ゴミ屋敷下剋上ってわけだ。

俺に促されて、弁当持ってきた奴と爆竹持ってきた奴がビビりながら部屋の奥に通じるふすまを開けに行った。一階に音が聞こえないようにゆっくりと。ふすまが開ききって、きっとまたゴミが押し込まれてたり家具が散乱してるだけだろうと思って俺は懐中電灯を向けた。

…理解するのにかなり時間が必要だったね。照らした先は六畳くらいの同じく畳の部屋だった。ただ置いてある物がおかしかった。病院の診察室に置いてあるような細くて固そうなベッドが1つ。それと、本がぎっしり並べられた本棚。あとフランス人形っていうのかなぁ、わからんけど人形が数体置かれてた。

意味がわからないからさ、まだ怖くなくて俺でもその部屋に入っていけたよ。本棚を見てみると、全部女向けだった。ファッション紙、漫画、絵本。ふーんって思って俺はまた手前の部屋に戻った。そしたらメリケンサック装備してるやつがものすごい怯えてるの。どうした?って聞いても会話にならないくらい。

でもメリケンが一番言いたいことがだんだんわかってきた。逃げろ。俺たちはもう、物音をたてないで逃げようとは思わなかったね。だんだんこのゴミ屋敷のヤバさがわかってきてしまったから。

爺さん1人くらいなら走って撒ける自信があった。階段の物を蹴飛ばし半ば落ちるように俺たちは玄関を目指した。一階からは相変わらず酷い臭いがした。玄関を塞ぐように置かれていた自動車かなにかの部品の一部も入ってきたときとは比べものにならないくらいの早さで突破して各々自分の家に走って帰った」

「なにそれ、なんか、気味悪いな」

「そうなんだ。考えれば考えるほど気味が悪くてな。ただのゴミ屋敷だと思ってたら、二階には変な部屋。俺の家のすぐ近くだし、もし爺さんが追いかけてきたらどうしようかと怖かったよ。俺は家につくなりちゃんと鍵かけて急いで布団に潜った。気味の悪さに震えてたよ。

で、普通だと気付いたら朝だったーとかって展開になりがちだろ?違うんだ。何時間経ったかよくわからないけど、まだ起きるには早い時間で、俺は一睡もしてなかった。遠くから消防車と救急車の音が聞こえてきた。あ、これは俺人生終わったって思ったよ。急いで布団から出てその窓から外見たら、隣のゴミ屋敷から盛大に黒い煙が出てた。

素直に俺がやったことを親父とお袋に白状しようと思ったけど、結局できなかった」

武叔父さんの話を聞いて、俺は昔祖母が言ってた「お隣さんの火事の話」を思い出した。確か…

「 昔、お隣さんが火事になってね。家にも火がうつるんじゃないかって怖かったよ。 ○○さんはその日家にいなかったみたいで、助かったみたいだよ。不幸中の幸いだね」

俺の中で点と点がつながって、急に目の前にいる武叔父さんのことが怖くなった。それでも武叔父さんは淡々と語った。

「出火の原因は絶対俺たちが二階でタバコ吸って畳に踏みつけたせいだと俺は今でも思ってる。でもお袋が聞いてきた話では、ゴミ屋敷だからいろんな発火の原因になる物があって、それで自然発火したってなってるみたいだった。一階が激しく燃えてたらしい。

俺らが二階で畳燃やしたけど、火種が下に落ちて…やっぱりどう考えても原因は俺らなんだよ。タイミング的に。なあ、俺君、放火の時効ってもう成立してるよな?」

俺は変な汗をかきながらできるだけ冷静に答えた。

「…た、たぶん、してると思うよ。えっと、武叔父さんがやっちゃったのって何年前になるの?」

「40年くらい前」

「あ、だったら大丈夫なんじゃないかな、多分」

俺の精一杯の返答をちゃんと聞いたのか聞いてないのか、武叔父さんの反応は薄かった。さらに、俺の言葉なんてどうでもよかったのか、話を続けた。

「…俺らが突入して、火が出て、たまたま住んでる奴は家にいなかった。それだけならまだ普通だったんだがな、ここからが正直、未だに意味が分からないんだ。結論から先に言うと、焼け跡から少なくとも16人分の遺体だか骨が出てきたらしい」

「え?」

…確かに、意味が分からない。

「俺が推論すると、こうなる。あの一人暮らしの爺さんは女性を家に連れ込み監禁状態にしてた。それを隠すためにわざと敷地内をガラクタで埋めてた。それ以外考えつかないんだよ」

俺は不気味すぎる話に鳥肌を立てていた。

「仮にそれが真実だとして、生き残った爺さんはどうなったの?」

「わからないんだ。身寄りもいないみたいで。普通火事が起きたら、無事だった荷物取りにくるものなんだが、あれから 俺は一度も爺さんを見てない。近所の噂でも、誰も見ていない様だった」

「俺君!武!夕飯食べてくの!?」

一階から叔母の声が聞こえた。その一言で俺は叔父の恐怖のワールドから抜け出すことができた。

焼け跡から16人?信じられない。叔父達のタバコの火で16人が亡くなったのか、すでに亡くなってた16人だったのかはわからない。

「今日は俺の話聞いてくれてありがとな。人にこの話するの初めてだったんだ。俺君は口が堅そうだから聞いてほしかったんだ。長年背負ってきた罪、今更だけどどうやったら償えるかなぁ。少なくとも不法侵入と放火は確定だし…」

「武!夕飯どうするの!?あんたの嫁さんから電話きてるよ!」

叔父は叔母に「今行く」と大きな声で返した後、何事もなかったかのように「俺君、今度はパチンコ必勝法教えてやるからな(笑)楽しみにしてろ」と言って帰って行った。

一階に降りると叔母が台所で夕飯の準備を始めてた。

「まーた武に悪いこと教えられたんでしょ?ほんっとダメな弟だわ。俺君もあんまり武の言うこと鵜呑みにするんじゃないよ。あいつ、口がうまいから。天性の詐欺師なのよ。ほんっとにもう…」

武叔父さんが俺に半日かけて語った事は、武叔父さんのデタラメだったのか? 俺を楽しませるための作り話だったのか?

次武叔父さんに会う機会があったら、もう一度聞いてみたいと思う。


あくまでこれから書くことは俺個人の推論だが、焼け跡から16人ってのは、もう亡くなってた方だと思う。一階から酷い臭いがしてたって言ってたから。

あと出火の原因は、叔父さん達ではないと思う。二階の畳燃えて、一階が激しく燃えるだろうか?火災の知識がないからわからないが。

仮に出火の原因が叔父さん達じゃなかった場合を考えると、怖い。

一階の見つかってはまずいものと、それを探しに入った5人。屋敷の爺さんは全てを見ていて、全部燃やしてしまおうと思って火を着けたのかもしれない。

で、爺さんは生きたまま姿をくらましたってことは、また別の土地で同じことをしたのかもしれない。


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コメント

[5819] 現代の捜査能力&時効
今現在の捜査能力の凄さは、 戦後すぐ後の時代捜査よりも 犯人逮捕&確定は、速い…。 例え 不良少年達の煙草の不始末だけで… 一階の部屋だけが、燃え過ぎるのも 怪しい!! 1人暮らしのじいさんが、自分のに 人の気配を 感じて 流石に 16人の遺体を隠すのが、そろそろ 限界と (腐敗臭&悪臭?)思った 矢先だった から 不審火 と 思われても 大丈夫の様に ガラクタOrゴミ屋敷なら 突然火災に なっても 深く追求&捜査しないし 不良少年達の死体が、出れば 家主不在中に 女を 屋敷へ連れ込み 全ての 大罪を 不良少年達に 擦り付け… ほとぼり さめる 迄 何処かで 暮らし 同じ 事を 繰り返す と 考えた 屋敷のじいさん 恐ろしや 恐ろしや…。 現在では、殺人には、時効は、無い。
[5760]
この作者を心霊スポットに連れてってからなにか書かせたい(笑
良いの書いてくれそう(笑
[5759]
あと戦 後数年でよくあそこまでガラクタを 集めたもんだよなとあるけど、
とても戦後数年経った当時の描写にはおもえないけどなんか良かったから良しw
[5758]
そうそう!
ゴミ屋敷とはいえ、人が住んでいる家に肝試しに侵入するって…何だぁコイツらって思ったけど面白かったからヨシ!!。
[5757]
ツッコミ入れようと思えばいくらでもツッコめるが、普通に楽しめたから良しとするw
[5756]
結論は分からないままなのに、面白かった。文章の誘導の仕方が巧いんだね。ワクテカしながら読み進んだ。
[5755]
うん、おもろかった♪
[5754]
いやいや、面白かったけど16人?大事件でニュースになってる筈じゃんとかいろいろ突っ込まれそうだな(笑)
良作をありがとう。

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