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【SS】幽霊の願い/HN:いくゆみ

幽霊の願い/HN:いくゆみ


私は幽霊である。

最初は私を殺した奴を呪ってやろうとしたが無理だった。

あいつは霊感を持ち合わせていない。

どれだけ呪っても無反応である。

次に私が考えたのは幽霊が視える人を探す事だった。

呪えないのであれば、やる事は一つ。

あいつを捕まえてもらうのだ。

だが闇雲に探しても幽霊が視える人を見つけられなかった。

本当に霊感がある人間はそういるものはない。

テレビに出ている有名な人やお寺のお坊さんなどに話掛けてみたが反応はなかった。

死んで初めて分かったが本物はなかなかいない。

困った事に世の中は嘘ばかりだった。

チラッ

私は見逃さない。

高校生の男子が一瞬だがこちらを視た。

彼はきっと視える人間だ。

クラスの友達とチョコがどうのこうのと話している。

バレンタインデーの話だろう。

今時の思春期な高校生だ。

生きていれば私にも何気ない楽しい学校生活があっただろう。

それをあいつが奪った。

許せない。

その日から高校生の後を付いて回った。

名前は『鈴木』というらしい。

ありきたりな名前だ。

家族構成は父親と妹の三人家族らしい。

あの一瞬以来、私を視る事はなかったが視えているはずだ。

彼に力を借りるしか方法はない。

唐突にその日は来た。

「俺に何か出来るとは思えないけど話くらい聞くぞ」

きっと彼は私の本気がどのくらいか見定めていたのかもしれない。

誰彼構わず幽霊の話を聞いていては彼も大変であろう。

『私を殺した犯人を捕まえて欲しいの』

私は正直に全てを話した。

彼が私を助けてくれる理由はない。

そして相手は危険な殺人鬼だ。

引き受けてくれる可能性は低いだろう。

私が彼の立場なら断る。

「最初は断ろうと思ってたんだが…引き受けよう」

まさかの返事だった。

引き受けてくれた事もそうだが彼は私の話を疑う事なく信じたのである。

「な、なんで泣いてるんだ」

いつの間にか私は泣いていたようだ。

最初こそ犯人への怨みで動いていたが本当は心細かった。

このまま誰にも気づかれずにずっと未練を残してここにいるのかと思った。

彼が話を聞いてくれて…私の願いを引き受けてくれて安心した。

『どうして引き受けてくれたんですか?』

彼に質問をした。

「き、君が…妹に似てたから…かな」

彼は下を向きながら言った。

私には彼が引き受けてくれた本当の理由は分からない。

それでも、こうして救われている。

『シスコンなんですか?』

「いや違うから家族を大切にしてるだけだから。誰だって家族は大切だろう?シスコンとかじゃないから」

この時は嬉しさが勝っていたが改めて思うと彼を危険なめに合わせるのだ。

私は不安を感じ始めていた。

もし彼が死んでしまったら…。

『す、鈴木くん…やっぱり…』

ちゃんと説明はしたけど私ならにわかに信じがたい事だ。

彼だって油断してしまう。

「大丈夫だよ。油断もしないし打てる手は打ってある」

何故だか分からないくらいに彼は真剣だった。

「じゃあ行ってくる」

どこか彼は怒っているような気がした。


数時間後。

犯人は捕まり鈴木くんは怪我もなく無事に戻ってきた。

「犯人は捕まったのになんで成仏しないんだ」

そんな事は私にも分からない。

『さぁ?』

私には他の未練があるのかもしれない。

頭を掻きながら鈴木くんは困った顔をしている。

私はたぶん彼が好きなのだ。

この思いは伝える事はないだろう。

一生片思い。

叶わぬ恋だ。

それは私が死んでいるからだけではない。

生きていても同じ事だっただろう。

『このシスコンめ!』

私は叫んだ。

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