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【SS】希望/HN:いくゆみ

希望/HN:いくゆみ


俺は超能力がある……

と言われている。

『ある』と断定していないのは、勿論…ないからである。

何故あるフリをしているのかと聞かれれば話は長くなる。

一度目の透視は偶然だった。

知り合いに適当な事を言ってみたら見つかってしまったのだ。

それから話題になるのには時間が掛からなかった。

知り合いは俺に頼めば透視してくれると話を広げて回った。

仕事を失っていた俺は受け取ったお礼金に目が眩んだ。

それからは濁すように、こんな建物が視える、こんな人物が視える、こんな色が視えるなど言って誤魔化した。

だが、濁して言った事はほとんどこじつけのように当たっているとされた。

最初はお金が欲しかったからやっていた。

しかし、『お願いします』『ありがとう』そういった言葉に、期待に答えたい…いや、俺は答えないといけないんだと思うようになった。

最初は嘘から始まった。

でも俺の嘘で希望を与えられている。

俺は使命感を覚えた。

テレビの出演も増え、俺は有名になった。

警察にも協力した。

口にした事は嘘みたく当たっていく。

俺には本当は特別な力が最初からあったのではないだろうか。


あの時、知り合いに相談されていなければ特別な力は埋もれていたかもしれない。

俺は久しぶりに彼に会ってお礼を言いたい。

もう少しで着くだろう。

ピーンポーン

チャイムが鳴る。

ガチャ

「どうぞどうぞ、入ってくれ」

後ろを向き、知り合いに部屋へと案内した。

ドスッ

不意に背中に痛みを感じた。

最初はナイフの冷たさを感じ、次第に焼かれたような熱さと痛みが襲う。

「お、お前が悪いんだぞ」

痛い…痛い…

俺は何で刺されたんだ…

「あの時、妻の遺体が見つかって…俺はお前が怖くなった…お前が忙しくなればバレずに済むかと思ったのに」

痛い…くそぉ…

「今日呼び出したのは妻の事を透視で視てしまったんだろ…」

散々、嘘をついてきた代償がこれか…

俺の末路はこんなものか…

俺は息を引き取った。
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