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【怪文書】善悪/HN:いくゆみ

善悪/HN:いくゆみ


「あなたが、あの有名な名探偵…『M』なんですね」

私は電話に向かってそう言った。

「お話が出来て光栄です」

『M』とは世界一の名探偵と言われている方だ。

男なのか女なのか、若いのか年配なのかも分からない。

素性の知れない人物である。

『用件はなんですか?』

直接の声を聞かせて貰えるとは思っていなかったが電子音声とは…余程、素性を知られたくはないのだろう。

「人を探しています。クリアと呼ばれている犯罪斡旋人をご存知ですか?」

『知ってます』

返事に無駄などない。

少しでも『M』がどんな人間なのか情報を得たいがガードが固い。

「探しては頂けないでしょうか?」

さて『M』はどうでるか…

『クリアの情報は少な過ぎます。今のままでは見つけるのは困難でしょう』

予想通りの受け答えだ。

クリアは自分自身で犯罪を犯さない。

犯罪計画を練り、その計画を売り物とする斡旋人。

犯罪の根元とも言える悪人である。

自分自身の情報は絶対に漏らさない。


そんな人物がいたのはつい最近捕まえた男が情報を漏らしたのだ。

どんなに用意周到に存在を消そうとも計画に失敗した犯人からは情報が漏れやすい。

それでも名前しか分からないのだから辿り着くのは困難である。

「やはり世界一の名探偵でも難しいですか」

少し嫌味っぽく言った。

『………』

無言だった。

「遠回しに語り過ぎましたかね」

私は本題に移った。

「深淵を覗く者は注意する必要がある。深淵もまたこちらを覗いているのだから」

これだけ言えば『M』には伝わったであろう。

電話を切られるかも知れない。

覚悟はしていた。

『フリードリヒ・ニーチェですか。よく僕の電話まで辿り着けましたね、それだけで驚きでしたが…』

僕?

男なのか…子供?

『どうやらあなたは真実に近づきつつある』

コインには裏と表があるように、この世界には悪と善がある。

犯人は探偵を必要としないが探偵は犯人を必要としている。

誰も罪を犯さねば暴く人間は必要ないのである。

悪人がいなければ対比として善人も存在しない。

「あなたがクリアですね」

こいつこそが名探偵『M』であり犯罪斡旋人『クリア』であると私は確信していた。

証拠などない。

ただの戯れ言だと笑われれば終わりだ。

ただ唯一…

理由を説明すれば、この人がクリアであるべきだ。

としか言い様がない。

『congratulation』

電子音の声が言う。

「何故…なんですか…」

当然の疑問である。

『僕からすれば何の情報も残していないのに辿り着いた君に驚きだよ』

そりゃあそうだ。

ただの勘なんだし理解出来る訳ない。

しらばっくれる事も出来たはずだ。

だがしかし辿り着く者がいたとしたら最初から言うつもりだったのかも知れない。

『善も悪もない世界など退屈じゃないか?人々は退屈を嫌う』

まさか…。

『誰もが平和を望む中で犯罪という非日常に興奮と退屈凌ぎを覚える』

だから情報がないのだ。

『故に与えているのだよ。人が退屈にならぬように』

電子音声なんかじゃない。

『善と悪を』

これがこいつの声。

『誰も僕を裁けないし辿り着けないよ』

私の完敗だった。

今やパソコン、ネット環境が当たり前な中…こいつを見つけ出し倒すのは無理に等しい。

結局は人間は踊らされているのだ。

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[5530] クリアの正体
コンピューターってこと?

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