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【SS】不公平なゲーム/HN:いくゆみ

不公平なゲーム/HN:いくゆみ


誰だか知らないが顔見知りな奴がいた。

「やぁ、久しぶり」

彼が指を鳴らすと世界は動きを止めた。

私たちは5人でゴールデンウィークに旅行に来ていた。

「出来れば会いたくはなかったよ」

当然の返しである。

「あらら、つれない返事だねぇ。僕は会いたかったよ」

男は相変わらず飄々と答えた。

「じゃあ帰るわ。面倒事は御免だ」

私は少し怒ったように返す。

「へへへ、デジャヴ…付き合う必要はないよ、必然ならあるけど」

ムカつくはこいつ。

また変なゲームをさせるつもりか。

全く嫌な事しか思い出さない。

人間とは良い事を思い出し、嫌な事はあまり思い出さない生き物らしい。

しかし私は逆だと言えよう。

「そうか…どうせ拒否権はないんだろう!」


友人の運転で連休に旅行に来ていた。

その途中で…またこいつである。

「話が早くていいねぇ」

こいつの返事はいつも人の感情を逆撫でするかのようである。

「まぁ釈明だけはさせてくれよ。僕だって暇潰しとか遊びでやってる訳じゃないんだよ?君たちはいつも遊びの最中に捕まるみたいだけどぉ(笑)」

こいつ嫌みかよ。

「さて本題にいこうか」

溜め息が出る。

やらされる前から疲れた。

変な奴に捕まったものである。

「はいはい、どーぞどーぞ」

私は答えた。

「あぁ、日本人って奴は本当に面白い生き物だよな」

本当にムカつく奴だ。

別に面白い生き物は日本人じゃなくてもたくさんいるだろう。

「僕とゲームをしよう。簡単なゲームだ」

こいつは一応、神様みたいな奴だ。

詳しくは分からないし聞くつもりもない。

聞いたところで答えてくれる奴とも思えないので無駄であろう。

「ルールは簡単だ。この線からダーツを投げて真ん中に当てた方が勝ち」

さてさて勝手に話を進めているが…私がこのゲームを引き受けないといけない必然が思い当たらない。

前回は命がかかっていたのだから仕方なかったといえる。

「あははは!私がゲームする理由なくねって思ってるでしょ!ウケる!」

心が読めるのか、私が分かりやすいのか…ムカつく。

「ゲームで勝たなければ、ここから脱出出来ない。今はそれで納得してよね」

理不尽極まりない。

こんな神様いてもいいのかよ。

「ハンデとして君が最初に3本投げていい。僕は最後に1本投げる。外さない確実に当てる」

それはズル…なんじゃ…

つまりは3回で確実に当てなければ負けである。

この時間が停まった世界で永遠に幽閉されるのか。

勝つのが最低条件で負ければ地獄。

私には何の得もないどころか面倒しかない。

不満極まりないゲームだが前回の恩を少なからず感じている。

本当はあいつが助けた訳ではなく助かるべくして助かった可能性もある。

だが、そんな事は私には分からないのだから恩を感じておくしかない。

取り合えずダーツと的に細工などがないかだけ二人でチェックした。

「うおおおおぉりゃああああぁ」

一回目は少し右に逸れた。

あまりダーツをした事はないのだが、こういうゲームは得意な方である。

それなりに普通にこなすのが私という人間だ。

さて…このゲームは勝つ事が前提である。

しかしゲーム自体は不公平なのだ。

勝って得るものはない。

負ければ全てを失うレベルである。

さすがに幽閉される事はないのではないか?

と推測しているのだが、私には分からない理由があるのかもしれないので…はぁ…溜め息しか出ない。

「あと2本だ。君の全てがかかっているのだから焦らなくていいよ」

焦っているつもりはない。

このゲームは最初から不公平なのだ。

私は伸びをした。

「前にも言ったけど、あんたムカつくけど優しい奴だ」

男はニヤリとした。

「このゲームは最初から公平なルールじゃない」

男は下を向いている。

「本当は最初の1本で十分だったけどダーツなんて久しぶりだから投げてみたくなったんだ」

男は笑い出した。

「あと2本もいらない、1本あればいいよ」

私は真ん中に投げた。



「congratulation」

英語の発音がめちゃくちゃ良かった。

「ゲームは君の勝ちだ。この後に開放するよ」

このゲームは最初からゲームになっていない。

ゲームをする上で一番重要なのは細かなルールだ。

簡単な大まかなルールしか設定されていないゲームはゲームとは呼べない。

最初はダーツの上手さを競う本当のゲームかとも思ったのだが、あいつはゲームに相手の勝ち道を塞ぐ事はしない。

必ず私が勝つべき道を残している。

上手さなどという不確定ではなく、運などという奇跡でなくである。

きっと私は試されているのだ。

今後あるであろう何かの為に。


数分前。

「最初は本当にゲームなのかと思ったけど………負けて失うものが大き過ぎる」

私は言った。

「だから答えは簡単。必ず私が勝つ方法がある」

私は迷わずに言う。

「前回、私は砂時計に触れられなかった。あんたは細かいルールの説明なんか前々からしなかったけど…元より無理な事は出来ないように用意周到だ」

そうなのだ。

ダーツと的に触れた時点で私の勝利は確定している。

的を線の目の前に持ってきて投げればいい。

最初から外れる訳もないのだ。

「ルールは簡単だ。この線からダーツを投げて的の真ん中に当てた方が勝ち」

あいつはそう言った。

投げるのは線から。

的の真ん中に当てたら勝ち。

ルールはそれだけ。

またしても頓知のようだが最初から不公平な…私が勝つ為のゲームである。

「聞きたいんだけどさ、こんなゲームに何か意味があるの?」

あいつはムカつく感じで笑った。

「君にはないといえるかもしれないが、僕には必要なんだ。君が僕に勝つ事が最低条件なんだからね」

くそっ…意味わかんねぇけど…何かある事だけは分かった。

こいつ今後も何かさせるつもりかよ。

はぁ…溜め息が出る。

「来年の正月には神様に祈ってくるよ!二度と神様に会わなくて済みますようにって」

私なりのジョークのつもりである。

「相変わらず、つまんねー」

やっぱりムカつく。



〔王選抜ゲーム〕

1、参加する為には神と神に推薦された人間による二人一組のチームを作る事

2、ゲームは神が推薦した人間が行う事

3、神が人間を推薦する最低条件はその神にゲームで勝つ事

4、負けた人間は記憶を奪われ推薦した神は王になる権利を永久に失う

5、最後まで勝ち残ったチームの神が次代の『神王』とする

6、最後まで勝ち残ったチームの人間は一度だけ願い事を叶えられる(願いを増やす等の不正は認めない)

男は推薦書を提出した。

私はまだ何も知らない。

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