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【怖い話】苦狂日記 滅びの詩①/HN:忍冬

苦狂日記 滅びの詩/HN:忍冬

※前回「苦狂日記 叫びの詩


私は今祈っています…
主人の回復と、家族の幸せ。
亡くなっていった人達の冥福を…
そして…呪縛からの解放を…
毎日手を合わせ祈っています。

◇◇◇◇


何時間くらい思いにふけっていたでしょう…
ふと、我に返るとかなりの時間が経っていました。

色々考えていました…
色々あったんです。
あり過ぎて今でも時々頭が混乱してしまいます。

主人は病に倒れ。
友人が自殺し、生活が一変してしまいました。
そしてその原因の一つを作ってしまったのが、自分自身かもしれないなんて…

今でも後悔しています。
あんなこと言わなければ…

そのことに気が付いたのは、あの日記を読んだ後、全てが起こってしまった後でした。

日記は友人から突然私の元へ送られてきました。
詳しい住所を教えてもいないのに、ある日突然…

確かあれは、先々月…
7月24日のことです。
私が仕事から帰ってくると、ポストの中に宅配便の不在通知が入っていました。
直ぐにその宅配業者へ連絡し、荷物を持ってきてもらったのです。

差出人は村瀬朱美、私の高校の時からの友人でした。

荷物はやや大きめのダンボールの中に、彼女の日記や昔のスケジュール帳、あと一通の手紙…
そして見ず知らずの女性の日記が入っていました。


そしてまず手紙を読もうとした時、私の携帯が鳴ったのです。
でてみると友人の優花でした。

「あ…絵理子、知ってた?
朱美が自殺したみたいだよ。
私ビックリしちゃって」

「え?ウソ……」

ショックでした。
最近の朱美の生活を知っていた私からすると、自殺をするなんて思いもしなかったからです。

「ちょっと聞いてる?
絵理子仲良かったからさ、知ってると思ったんだけど。
もしかして知らなかった?」

「うん」

「なんか焼身自殺みたいだよ。
一週間前だって」

「一週間前?
今その朱美から荷物が届いてるんだけど」

「荷物?」

荷物の差し出し日を見ると10日前になっていました。
どうやら指定日配達で送ったようで、伝票には7月24日指定と書いてあります。

「荷物の中に何が入ってたの?」

「日記?とかかな…」

「何それ?なんで日記なんて送ってきたの?」

「今開けたばかりだからわからないよ」

「そっか…絵理子は何で朱美が自殺したか心当たりとかある?」

「イヤ…全然わからない…」

「そう…何があったんだろうね?
もしかして日記に何か書いてあるんでない?読んでみてよ」

「今はちょっと忙しいし、気持ちの整理がついてないから、今度にするよ…」

「そう…じゃあ今度さ日記の内容教えてよ。
イヤ、今度見に行くわ」

「え?…うん、わかったよ」


◇◇◇◇

焼身自殺…
焼身自殺というのは自殺の中でも、とても苦しい部類に入るらしく、普通、自殺を考える人はこの方法は選ばないといいます。

朱美は何を思い焼身自殺を選んだのでしょうか?
焼身自殺には意味があり、メッセージが隠されてると言う人もいるみたいです。

最初、彼女が自殺する理由がサッパリわかりませんでした。ですが関係あるかどうかはわかりませんが、彼女は学生の時からある宗教に入信していたことを思い出しました。
この宗教は普通とは違っていたのです。
そう…この宗教は狂人の集まり。
狂人が支配する宗教…

自殺の本当の理由はわかりません。
その宗教のせいだったのか、それとも誰かに対する抗議だったのか…
それともただの気の迷いだったのか…
何故焼身自殺する必要があったのか…
今では何も知ることはできません。

ただ一つ気になることもあります。
それは彼女の日記です。

日記には彼女の人生が綴ってありました。
毎日欠かさず書いていたようで、彼女の几帳面さが窺い知ることができます。

しかし、その内容は彼女のイメージからかけ離れたものでした。
私の知ってる彼女ではなく、本当の彼女の姿が日記に記されていたのです。

信じられませんでした。
イヤ…信じたくありませんでした。

彼女はある親子の死に深く関わっていることが書かれていたのです。
その親子というのは、井上陽子とその娘の井上夏美。
井上陽子は朱美の旦那、村瀬信治の妹です。

朱美は義理の妹と姪を、死に追いやったと日記に記していました。

そしてその親子の死の直前から、彼女の日記には不思議な詩のようなものが書かれていたのです。
その詩はまるで呪いのように書かれていて、恨みや憎しみが込められた叫びのようでした。

筆跡も朱美のものと違っていて、日記の中でも朱美は、自分が書いたものではないと記しています。


―村瀬朱美の日記―

『何を信じればいい…
何を恨めばいい…
声が届かない闇が広がり また心を潰していく…

一緒に過ごした日々を覚えておいてほしい…
時間が戻るなら心を抉り取ってあげる

これは叫びの詩
あなたに聞こえるかしら…
涙を辿って見つけてほしい
私達の切望を…

心が酷く空っぽで
錆びた身体を動かすことはもうできない
時を見失い私達は消えていく…

全てが曖昧な現実に叩きのめされ 失望し 盲目の朝を迎える
これは滅びの詩
あなた達に聞こえるかしら…

最も暗い夢が始まる時
私達はここで待っている
涙を辿って見つけてほしい
これは叫びの詩
逃げることはもうできないから…

偽りの優しさが私に執着な憎悪と哀しみを生んだ…
だから
ずっと待っている夢から覚めるまで…
だから
ずっと待っている想いが枯れるまで…』


平成23年10月15日(土)

これは何?
知らないうちに日記が書かれてる
旦那のイタズラ?かな…
しかもこんな悪趣味な詩みたいなもの…
勝手に日記に書くなんて
勝手に日記を見るなんて…


平成23年10月16日(日)

信治に聞いても詩のことは分からないと言われた
じゃあ誰が書いたのか?
まさか知らないうちに自分で書いている?
そんな訳はないと思う…


・・・・・・・・・・・・・・

外は今日も激しい雨が降っています…
ここ2、3日ずっと雨なんです。
天気予報では一週間くらい雨が続くと言っていました。

確かあの日もこんな雨の日だったような気がします。
それは朱美を変えてしまった日。
全ての始まり…
今でもよく覚えています…

朱美と私は高校からの友人です。
彼女は転校生でした。
2年生の2学期に市内でも有名な進学校から、私の通っていた平凡な市立の高校に移ってきたのです。

何でわざわざ進学校から移ってきたのか、ハッキリしたことは教えてもらえませんでしたが、前の学校で色々あり、仕方なく転校してきた当事は言っていました。

朱美はどちらかというと暗い性格で、最初はなかなかクラスにも馴染めなかったように見えました。
ですが、まわりから話し掛けたりして徐々に友達も増えていったように思います。

そして何がキッカケかは忘れましたが、いつの間にか私と朱美は仲の良い友達同士になっていたのです。

学校帰りによくファストフード店やファミレス等に行き、恋愛話や好きな音楽の話、趣味やくだらない話等、よく飽きなかったと思うくらい一緒にいて、話をしてたように思います。

そしていつ頃だったか忘れましたが。彼女はよく家庭内の話をするようになっていきました。

彼女は一人っ子です。
両親はいたのですが、父親は定職に就いていないらしく、母親は看護師をしていて、ほとんどその母親の収入だけで生活していたようです。

そしてその父親から朱美は頻繁に暴力を振るわれていたようでした。
体にはよく痣があり、「その痣どうしたの?」と聞くと、はじめの頃は転んだとか、ぶつけたと言って隠してましたが、そのうち痣も増えていき、酷い時には包帯をグルグル巻きにして学校に来るようにまでなっていったのです。

さすがに心配になった先生達も、痣や怪我のことを聞いてみたのですが…
彼女はハッキリとした理由を言わなかったようでした。

その頃からよく彼女は「普通の家庭に生まれたかった、早く家から出たい」とか…
「絵理子はいいよね、優しそうなお父さんとお母さんで」と人の家庭を羨むようなことを、言うようになってきていました。

そしてあの日…
これが全ての始まりの日だと私は思っています…

その日は朝から雨が降っていました。
学校を終えると暇だった私達は、放課後いつも行くファミレスに向かうことにしたのです。

放課後二人で傘をさし、他愛ない会話をしながらファミレスに向かいました。
学校を出て200メートルくらい歩いた時でしょうか…
突然中年の女性に声をかけられたのです。
何だろう?と思っていると、その女性は一冊の本を渡してきました。

見てみると、本には『幸福への道』と書いていて、直ぐに宗教の勧誘だということがわかりました。

私は適当にあしらってファミレスに向かおうとしたのですが、朱美がその女性につかまってしまい、立ち止まって話を聞いているのです。

私は直ぐに朱美の腕をとり「行くよ」と言って無理矢理女性から引き離し、そのまま走り出しました。

「ちょっと絵理子、痛いよ離して」

「あんなのに引っかかったらダメ」

「わかったから、もう離してよ」

私は朱美の腕を掴んだまま、かなりの距離を走っていました。

「ごめん…痛かった?」

「大丈夫だけど、ちょっとビックリした」

「ごめんね」

そしてファミレスに着くといつものように適当に注文して、他愛ない会話を楽しんでいました。

すると突然朱美が変なことを言ってきたのです…

「ねぇ…絵理子、さっきのオバサンなんだけどさ…」

「オバサン?」

「これのオバサン」

と言って鞄からさっき渡された本を出してきました。

「ああ~、宗教の勧誘」

「うん…あの人さ、ちょっと普通じゃなかったし、妙なこと言ってきたんだよね」

「な~に?うちの宗教に入信すれば絶対幸せになれるとか?」

「違う…さっきのオバサン、私を見て、凄いビックリした顔しながら恐ろしいこと言ってきた」

「恐ろしいこと?」

「うん…私の顔見てね、あなた凄い力持ってるわねって…」

「何それ?変な勧誘の仕方、でもそれのどこが恐ろしいの?」

「うん…それが真顔でね、それだけ凄い力があれば、人を殺すこともできるって言ってきたの…」

私はそれを聞いた時一瞬固まってしまいました。
不思議な力で人を幸福にするという宗教は沢山聞いたことありますが、人を殺すことができると言った宗教は初めてだったからです。
しかもそれを聞いて興味を持ったのか、朱美はその本を読み始めていました。

本を見ると表紙には、代表者らしき人が載っていて、水明源教、人道光照と書いてありました。

多分人道光照というのは本名ではないのでしょう。
いかにも宗教家らしい名前で思わず失笑してしまいましたが、朱美はそんなのお構い無しにどんどん読み進めていました。

「ねぇ…朱美ヤバイって、そんな本読んでたら頭おかしくなっちゃうよ」

「絵理子…本一冊作るのにどのくらいのお金が必要か知ってる?」

「わからないけど…何で?」

「私もね詳しくはわからないんだけどさ、本一冊作るのに結構なお金が必要らしいよ」

「そうなんだ。
でもその本無料で貰えたね…」

「だからさ、多分この宗教は本物なんじゃないかな?
お金かけてまで、この宗教の素晴らしさを知ってもらいたいんだよ」

「そうなのかな?なんかちょっと違うような気がするけど…」

彼女は注文した物がテーブルに運ばれてきても、それに手をつけずひたすら本を読んでいました。

「ねぇ…そんなに宗教に興味をもったんなら、私も入ってるところに入りなよ」

「え?絵理子何か宗教に入ってたの?」

「うん…」

私はある宗教に入っていました。
生まれた時から…
両親が熱心に信仰していて、物心ついた時から両親と一緒に仏壇に向かい、手を合わせていたように思います。

「どう?やっぱり幸せになれるの?」

「幸せかどうかはわからないけど、大きな問題とか起きてないし、平々凡々とはやっていってるよ」

「そうなんだぁ…平々凡々とねぇ。
いいなぁ…うちとは違って絵理子の両親、優しそうだもんね」

「そうかなぁ…普通だと思うけど」

「…普通ってさ、結構難しいんだよ…
うちなんて…」

彼女はそう言いかけると黙って下を向いてしまいました。

「なんかごめん…」

彼女の家庭内は、どうなってるのかは詳しくわかりませんでしたが、よく痣等をつくって学校に来ていたので、言われなくても大体のことは想像できました。

「幸せになれるなら私もやってみようかなぁ…」

「幸せになれるかどうかはわからないけど、毎日手を合わせて一生懸命信心すれば、心にゆとりができてくると思うし、道が開けてくるような気がするよ」

この時は軽い気持ちでした。
まさかこの言葉が彼女の人生を狂わしていくなんて思いもしなかったのです…

「心にゆとりができて、道が開けるかぁ…
よし決めた、やってみる」

「本当?じゃあ今日帰ったらどうすれば入信できるか、お母さんに聞いてみるよ」

「え?違う違う。入信するのはこっち、水明源教のほうだよ」

「ハ?マジで言ってるの?
人を殺すことができるとか言ってる怪しいところだよ」

「うん、だから信用できるの」

「どういうこと?」

私は彼女の言ってる意味が全く理解できませんでした。
人を殺すことができると言ってくる宗教にどんな魅力を感じたのか…
ですがこれにはちゃんと彼女なりの理由があったのです。

「私さ、転校してきたじゃん」

「うん…」

「前の学校でイジメにあってたんだ…」

「そうなんだ…だから転校してきたの?」

「違う…イジメが原因じゃないよ」

彼女は読んでいた本をテーブルに置くと、注文したジュースに口をつけ、喉を潤し真剣な顔で信じられない話をしてきたのです。


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コメント

[5518] 紫姫さん
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始は忙しくなかなか返事が出来ませんでした、すみません。
次回作はまだ何も手をつけていません。
今から少しずつネタ集めをするつもりです、でも大体のあらすじは出来てるので、滅びの詩ほど時間はかからないと思います。
ですが完成はいつになるかわかりません、すいませんが気長に待っていてください。
[5497] *年の瀬のご挨拶*
今年も もぅおしまい ですねぇ☆ 来年 2015年は、忍冬さんに とって 良い年で あります様に…★◆ 来年 2015年も 宜しく お願い申し上げます♪ m(__)m 年末は、何かと 忙しいと 思いますが、 お身体に 気をつけて下さいませ…。 次回の 作品を 楽しみに お待ちしてます♪ (≧▼≦)
[5404] 5399さん
コメントありがとうございます。
朱美のモデルになった人は実は3人いるんですよ。
前回叫びの詩の時は、友人の叔母で、この叔母が宗教を熱心に信仰していたんです。
友人からその狂信ぷりを聞かされて、色々相談にのっていました。
そして今回は、更にカルト宗教に騙された方のブログに登場する狂信者の方と、私の母親がモデルになっています。
私の母も無宗教なんですが、霊感が強かったらしく、ある宗教の勧誘で、それだけ凄い力があるならば人を殺す事も可能だと言われた事があるんですよ。
それが私的には強烈に印象に残ってて、今回使わしてもらったんですよ。
確かに朱美のようになってしまうのは極稀かもしれませんが、色々な方のブログを読むと、近いものが書いてあったり、本当に狂信的な事が書かれていてぞっとしてしまいましたね。

長い話なのに読んでくれてありがとうございます。
またよろしくお願いします。
[5399]
忍冬さん、読みました。
私も無宗教ですが、某宗教に誘われたことがあります。本当にしつこかった(><)
朱美さんのようになってしまうのは極稀なことだと思いますが、こんなの酷すぎる。
心が弱いのか、本当に狂ってしまうのか。宗教って怖い><
[5398]
↓↓さん、ありがとうございます(><)
[5392] ありがとうございます
5385さん、叫びの詩も読んでいただいてありがとうございます。

この話は、叫びの詩の続きと言っていますが、アナザーストーリーみたいな感じになっています。
ですから、叫びの詩を読んでもらえれば、より理解してもらえると思います。
とても長くて、読むのが大変だと思いますが、読んでもらえて嬉しいです。
ありがとうございます。


5390さん、ありがとうございます。
このサイトって昔に読んだ話を探すのが、結構大変ですよね。
一発検索みたいな機能があれば良いと思うのですが。
私も今昔に載った話を少しずつ見てるのですが、なかなか大変です。
[5390]
この話しの一番上から行けますね~
[5385] 苦狂日記 叫びの詩
前に読んだと思うのですがもう一度読みたいです。どこにありますか?(><)

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