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【怖い話】苦狂日記 滅びの詩②/HN:忍冬

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「原因は多分私が人を殺したから…」

「え?なにそれ?」

「ずっと陰湿なイジメに耐えてきたの…
本当に辛かった…
初めて人を殺してやりたいって思うほどに…」

「それでまさか人を殺しちゃったの?」

「わからない…でも…」

彼女は目に涙をうっすら浮かべ、プルプルと体を震わせていました。
その状況から、冗談ではなく、本当のことを言っているのがわかりました。

「絵理子も知ってると思うけど、前の学校は市内でもトップクラスの進学校だったの…
みんな頭が良かったし、一生懸命勉強もしてた。
でも中には思い通りの成績をだせない人も沢山いた…
そして親からの期待もあったんだろうね…
成績が伸びないとどんどんストレスだけが溜まっていった。
他にも理由があったのかもしれないけど、いつの間にかストレスの捌け口としてイジメが行われるようになっていった…
いつもやるのは決まった奴等、クラスの中でもあまり成績の良くない連中だったわ」

「イジメってどこの学校にもあるんだね…」

「逆にイジメのないところってあるの?
イジメはダメって言ってる大人達だって職場や仲間同士でイジメ合ってるじゃない…
そんな奴らの言葉や姿を子供達はどう見ると思う?
イジメは本当にいけないものだと思う?
イジメはなくなると思う?」

「…確かにね…」

「そしていつの間にかイジメの矛先は私になってた…
理由はわからない。
もしかしたら理由なんてなかったのかもしれない…
でも私には地獄だった、本当に地獄だった」

「…そうだったんだ…」

「そして私はイジメをしてくる奴らに対して、強い殺意を持つようになっていったの…
でも行動には移してない…ただ強く思うだけ…
死ねばいいのにって…」

いつの間にか泣き止み、無表情で淡々と語る彼女の姿に、私は寒気を感じていました。
普段とは違った彼女がそこにいたからです。

「そして事件は起こった」

「事件?」

「最初はイジメのリーダー格の夏希だった。
私が死ねばいいのにと一番強く思った奴。
彼女は突然失踪したの」

「行方不明になったってこと?」

「そう…そして一週間後に西内海岸で水死体で発見された…
死因は溺死、自宅から30キロ以上離れた場所で発見されたのよ…」

「事故かもしんないじゃん」

「私も最初はそう思った。
でも私にイジメをしていった奴らが次々に死んだり行方不明になっていったの…
死ねばいいのにって強く思った奴から…」

「偶然でしょ…」

その時私は思い出したのです。
確か彼女が転校してくる前、彼女の学校の生徒が次々に3人、事故死したニュースをテレビで見たことがあったのです。

知らないうちに体から変な汗が吹き出していました。
暑かった訳じゃありません。
逆に嫌な寒気があり、目の前にいる彼女に対して少しづつ恐怖を感じていったのです。

「次は由美子だった。
彼女もイジメグループのリーダー格存在…
そして夏希とは仲の良い友人だったみたい…

夏希が失踪してからも私へのイジメは終わらなかった…
それどころか逆に由美子を中心にして、イジメはエスカレートしていったの。
そして夏希の遺体が発見された日に由美子は失踪した」

「だから偶然だって」

彼女に言ったつもりでした。
ですが、今思えば自分に言い聞かせていただけだったのかもしれません。

「そして間をおかず残りのイジメグループも…
佐山彰、田村宏太、最後に担任の篠崎が失踪した」

「先生まで?」

「一度イジメについて、篠崎に相談したことがあったの。
でもアイツは何もしてくれなかった…
イジメにあってる私を見ても無視したり、酷い時には由美子達と一緒に私をからかったりしてきた…
この時には皆一緒に見えたの…
皆死ねばいいのにって思うようになっていた…」

「でも確かニュースでは事故死は3人だって…」

「だから言ったじゃない。
死んだり行方不明なっていったって…
由美子と担任の篠崎は行方不明のまま…」

「…でもそれだけじゃ、朱美は関係あるかどうかわからないじゃない…」

「そうだね…
でも…私がやったの…5人とも…」

「何で?何でそうだと言い切れるの?」

「…私なの…私がやったの…だから前の学校にいられなくなって転校してきたの」

◇◇◇◇

その時、朱美はそれ以上何も言いませんでした。
ですが自分が原因だと思ってたみたいです。
何故そう思ったのかは、彼女から送られてきた、学生の時のスケジュール帳に記してありました。


―長谷川朱美のスケジュール帳―

1997―6/4

篠崎に相談
相手にしてくれなかった
担任なんてこんなもん


1997―6/10

篠崎に無視された
死ね
先生辞めろ

1997―6/17

夏希失踪
そのまま死んで


1997―6/24

夏希の遺体発見
西内海岸で発見
ざまぁ

由美子失踪
そのまま消えて


1997―6/25

佐山、田村、失踪
死ね、消えろ
皆死ね


1997―6/26

考えたらラッキー
誰も私をイジメる奴はいない
篠崎は私を疑ってきた?
死ね
私じゃない


1997―6/27

意味わかんない
私は知らない
一緒にいない
わからない


1997―6/28

篠崎失踪
死ね
田村の遺体発見
清の杜公園で発見
ざまぁ
田村が持ってたノートに私の名前?
犯人扱い?
意味わかんない


1997―6/30

警察がきた
私じゃない
でも何か変


1997―7/1

佐山が事故死
車に突っ込む
発狂してたらしい
長谷川ゴメンを連呼してたと目撃者の証言
私は何もやってない…
でも何故かうっすら記憶がある


1997―7/3

警察がきた
私じゃない、いい加減にして
アイツら死んで当然


1997―7/4

学校では変人扱い
イジメが無くなっても私の居場所はない…


1997―7/7

お父さんまで私を変人扱い
終わってる
人生終わってる
学校も行きたくない
これならイジメられてた方がマシ


1997―7/8

父…口きいてくれない
母…つめたくなった?
学校…皆無視する
私…死にたい


1997―7/9

やってないのに記憶ある
私が犯人?
でも違う、私じゃない
私じゃないってば…


・・・・・・・・・・・・・・

これが彼女の転校してきた理由みたいでした。
本当に何があったのでしょうか?…

ハッキリしたことはわかりませんでしたが、このことが水明源教に興味をもった原因になったようです。
そして家族とうまくいかなくなったのもこれが原因の一つのようでした。

彼女はあのファミレスの会話の数日後、本に書いてあった連絡先に電話をして、水明源教に入信したようです。

それから私達はあまり遊ばなくなっていきました。仲が悪くなった訳じゃありません。
朱美が放課後、頻繁に水明源教の会合等に出席するようになったからです。

でも彼女は、それから少しづつ明るくなっていったように思います。

「生きる希望が出てきたよ」

とよく言ってたのを覚えています。

ですが…
朱美が入信して一ヶ月位経った頃でしょうか…
彼女の父、長谷川雄二が失踪したのです。

このことについては彼女はあまり話たがりませんでした。
しかし、特別心配してる様子もなく、むしろ居なくなって清々してるようにさえ見えました。
そしてこの頃から彼女の雰囲気も変わっていったように思います。

まず生活が派手になっていきました。
何処で手に入れたかは分かりませんが、常にサイフの中には数万円の現金が入っていて、顔には濃い化粧をし、登下校はいつも誰かに送り迎えをしてもらってるいるようでした。

彼女はすっかりクラスの中でも浮いた存在になっていったのです。
私も学校内では彼女と普通に会話をしたりしていましたが、放課後は何をやっているのか全くわかりませんでした。
学校が終わると直ぐに一人で帰ってしまうからです。

そんな彼女でしたが。学校だけは真面目に出席して、勉強をしていました。
彼女には夢があったからです。
それは彼女の母、長谷川涼子のような立派な看護師になること。

働かない父親と違って、真面目に働き家族を養ってきた母に憧れをもっていたようです。

本当は医者になりたいと言っていましたが、転校してきた時点で諦めたと言っていました。

そしてその頃のことも彼女はスケジュール帳に記しています。


―長谷川朱美のスケジュール帳―

1997―10/14

水明源教の本をもらった
これで私も普通になれる
『絵理子も言ってた、祈れば願いは叶う』


1997―10/16

水明源教に入信


1997―10/20

人道光照先生に会う


1997―10/22

私に凄い力がある?
人を殺せるほどの力?
まさか…


1997―10/24

先生は優しい
この人がお父さんならいいのに…


1997―10/26

先生とデート?
楽しかった
先生は私に楽しい時間をくれる
私は特別な存在なんだと言ってた


1997―10/29

源教は楽しい
私は力があるから特別
先生の側にいる時間が一番楽しい


1997―11/3

ぶたれた、思いっきり
死ねばいいのに
先生とは大違い
クソオヤジ


1997―11/7

家に帰りたくない…
本当に死ねばいいのに


1997―11/8

オヤジが狂って苦しんでた
私の力は本物…
強く念じれば人は狂う
先生の言った通りだった


1997―11/9

オヤジが帰ってこない
何であんなクソオヤジを捜しに行かなきゃならないの?
お母さんも変だよ…


1997―11/11

捜索願いをだした
ムダ
見つけても私が殺すから


1997―11/12

先生の右腕になった気分
欲しい物があれば何でも買ってくれる
お金があれば何でも手に入る…


・・・・・・・・・・・・・・

本当に朱美には不思議な力などあったのでしょうか?
私には分かりませんが、進学校での出来事、水明源教での立場、そして私の言葉…
まるでパズルのように組合わさり、彼女の人生を狂わせてしまった。
そう思えてなりません。

それから彼女は無事高校を卒業して、看護学校の方に進学していきました。
私は高校を卒業するとバス会社の添乗員として就職。
仕事等が忙しくなかなか遊ぶ暇もなかった為、朱美とは疎遠になっていきました。
それでも電話でお互いに心境報告等はしていたのですが…
あまり会うことはありませんでした。

でも去年の同窓会で久しぶりに会うことができました。
高校の同窓会は初めてで、卒業してからもう10年以上は経っています。
皆に会うのは本当に久しぶりで、同窓会の連絡を受けた時は妙にテンションが上がりました…

◇◇◇◇

同窓会の日はあいにく仕事…
仕事を終わらせて急いで会場に向かったのですが、着いた時には開始予定時刻を30分以上過ぎていて、皆もう飲んだり食べたりして盛り上がっていました。

「絵理子~」

会場に入るなり誰かが声をかけてきました。
見るとスッカリ綺麗になってしまった朱美がそこにはいたのです。

お互い電話では連絡を取り合ってはいましたが、会うのは久しぶり、こんなにも彼女は変わっているとは思いませんでした。

同じ年とは思えないくらい若く見え、同じ女性から見ても羨む程、綺麗になっていました。
会場では凄い目立っていたと思います。

「朱美、凄い変わったね」

「そうかな?絵理子は変わらないね」

「それどういう意味?」

「アハハ、本当久しぶり」

そこでお互いゆっくり話をしました。
お酒が入り、電話では話せなかったことも色々話しました。

意外でした。
朱美が結婚したことは電話で知っていましたが、相手は17歳年上のサラリーマン、しかも自分より8歳年下の連れ子がいるなんて…
そんなに歳が離れてても上手くいくのかな?と思いましたが、彼女は「円満よ」と言ってニヤニヤ笑い、幸せそうに見えたのです。

相変わらず宗教の方も続けてるようで、看護師の仕事もあるし、毎日忙しいと語っていました。
ただ宗教の名前は変わったと…
何故変わったのかまでは聞きませんでした。
別にその時は興味なかったし、そんな細かいことは気にせず、楽しい時間を過ごしたかったからです。

本当に楽しい時間でした。
お互い何もかも忘れて、ただ騒いでいました。
朱美もこんなに笑ったのは久しぶりと言って、楽しんでいたと思います。

ですが…本当は…
彼女には人に話せない闇の部分が沢山あったのです。


◇◇◇◇

彼女の人生にいったい何があったのでしょうか?

わかりませんが時間を戻したい…
学生の時まで、いえせめて同窓会まででもいい…
そうすれば彼女を救えた、気持ちを変えれた、彼女を変えれた、私の人生も変えれた…
そう思います。

外を見ると秋の雨が降りしきり、冷たい風はガタガタと窓を揺らしています…
まるで亡くなって人達の悲しみや怒りを表すように…

彼女は何を思い死んでいったのでしょう?
見た目には華やかで幸せそうに映っていた姿。
だが決して彼女の人生は幸せではなかったようです。

そのことは送られてきた日記にも綴られていました。


―村瀬朱美の日記―

平成22年6月6日(日)

私は村瀬信治と結婚した
源教の為、先生の為
私の幸せを掴む為


平成22年6月14日(月)

まずは一歩。被害者の会の連中は私の顔を知らなかった
私は源教の隠し球、先生の切り札
源教は私の全て
信治、あなた達には潰させない
あなたが私の幸せを奪おうとするなら、私がその前にあなたの幸せを奪ってあげる。


平成22年6月23日(水)

流石、先生の力が入った薬
私の力よりも簡単だし、効き目も抜群
これなら予想より早く潰せるかなと思ったけど、甘くなかった…
代表の信治を思い通りにすれば、被害者の会を解散させれると思ったけど、そうもいかないみたい
もう少し内側からゆっくり潰していかないとダメね…
源教の隠し球が、まさか水明源教被害者の会代表の妻だとは誰も思わないでしょうね…
スパイみたいで楽しいけど、あまり時間をかけれない
早く解散させてやる

信昭が家から出ていった。
ある意味好都合、息子も何とかしなきゃと思ってたけど、この家からいなくなってくれるなら助かったわ。
仕事がやりやすくなった。


・・・・・・・・・・・・・・

どうやら朱美は信治さんを愛していなかったみたいです。
それどころか水明源教被害者の会を潰す為に結婚したなんて…
この宗教はどこかおかしい、先生と呼ばれる人がおかしいのかわからないけど、普通ではないと思います。

朱美もすっかり宗教にハマって駒になってるようで、彼女の不思議な力もいいように使われてるようでした。

これが彼女の裏の顔。
この頃の朱美は何を幸せだと感じていたのでしょうか?
日記を読み進めると次々に恐ろしいことが書かれていました。


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