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【不思議】ヤ動ル/HN:いくゆみ

ヤ動ル/HN:いくゆみ


引っ越しの為に荷物の整理をしていた。

段ボールに荷物を詰めるだけの簡単な作業。

不思議と単調な作業を繰り返したりしていると、人間という生き物は他の事に気を持っていかれてしまう。

いろいろなものを見つけては当時の事を懐かしむ。そして整理は思うように進まないというトラップ。

だが、こうした思い出も荷物整理の醍醐味だと私は思うのだ。

という言い訳。


子供の頃に大事にしていたものをしまっていた収納ケースがあった。

お気に入りの人形やカード、シール、いろんな玩具が詰め込まれている。

そんなケースから当時一番大切にしていた人形が無くなった事を私は思い出していた。

「どっか別のとこにしまったんじゃない?よく探しなさい!」

母は機嫌悪そうに言った。

「ここ以外あり得ないよ!大切なものは絶対にケースにしまうようにしてるもん」

私は小さな頃から変に頑固だった為、決めた事は絶対に曲げなかった。

「じゃあ、あるはずでしょ…」

母は呆れたように言う。

探し回ったが人形は見つからなかった。


当時の私は半年くらいは不機嫌に。しかし少しずつ人形の事は忘れていった。

引っ越しで荷物を整理していなかったら今でも忘れていただろう。

座るところが収納スペースになっている椅子が私の家にはあった。当時の私はそこを探す事はなかったのである。

何故なら使わない、いらないものをしまっていたからだ。大切なものをそこにしまうはずがない。

だが荷物整理の時に人形はそこから出てきた。少し埃を被っていたが昔のまま。


『もの』には魂が宿る事があると聞く。人の形をした人形などは特に魂が宿り易いらしい。

人の思いが『もの』に魂を宿らせるのだ。

椅子の収納スペースの中には玩具がたくさん入っていた。

使わなくなったブタの貯金箱、パンダのぬいぐるみ、古いシール。

それらは昔、私が大切にしていた『もの』ばかり。

もの凄く埃の被った玩具たちの埃を払う。

どこか悲しそうに見えた。

「そうか…」

大事にされていた『もの』が大事にされなくなった時、どのような気持ちになるのだろう。

そんな事、考えるまでもない。

人と同じだ。

私は恨まれているだろう。

「ごめんね」

当時の私は子供だった。

子供過ぎた。

きっと辛かっただろう、悲しかっただろう。

一番大切にしていた人形がニコっと笑った気がした。

その時、私は勘違いしていた事に気がついた。

「恨みや妬みじゃ…なかったんだ」

涙が出てきた。

「気付かせてくれる為だったんだね…遅れてごめん、お帰りなさい」

もう少しで新居への引っ越しである。

昔遊んだ玩具も家の隣に建てる予定のプレハブに飾ろうと思っている。

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コメント

[4963]
物だけじゃない。人間は大切な人の存在すら忘れてしまう。小学二年の時、仲のよかった友人が交通事故で死んだ。当時あんなに泣いたのに、今では帰省しても墓参りもしない。奴の事、この話のお陰で思い出したよ。ありがとう。
[4960]  
付喪神だね
日本のいいところ

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